相続の手続きで最も大切だと感じたのは、「相続人の確定」「遺産分割協議書の作成」「相続税の申告と納付(入金)」の3つ。いずれも司法書士や税理士に頼めばかなり負担は軽減する。
「相続人の確定」については、姉と冗談交じりに「今は還暦くらいになった隠し子がいたりして」と話していた。司法書士が取り寄せてくれた原戸籍に目を通すときは内心ドキドキだったが、隠し子はおらず問題なかった(めでたし、めでたし)。相続人は母と姉と私の3人。遺産分割協議が始まった。
信託銀行に相談に行った。「揉めたくない」という共通意識はあったものの、姉とは互いに違う人生を送ってきた。これまでも介護に対する考えも違っていたし、両親との距離感もまったく違っていた。相続で意見が一致するとは考えづらかった。そこで私から提案した。「多少のお金はかかるけれど、信託銀行に全部依頼しない?」。姉は快諾し、2人で信託銀行に何度か足を運んで遺産分割の相談をすることになった。
冷静に話が進む
信託銀行の担当者は丁寧な物腰で、私たちの意向をくんだ遺産分割の試算を何度もしてくれた。信託銀行での相続相談というのは初めてだったが、この時思ったのは、「相続というものは当事者以外の誰かが入ることによって、たとえ熱を帯びそうになっても冷静に話が進むのだな」ということ。
多くの事例に対応してきたプロフェッショナル集団。優秀な行員揃いだった。しかし、依頼した場合の遺産整理業務費用の高さにひるんでしまい、契約せずにやめてしまった。税理士や司法書士への費用が別料金というのも途中でわかった。すごく申し訳ないことをしたと反省している。