そして9カ月目。いよいよ「相続税の納付」だ。「この用紙を銀行に持っていけば納付ができます」と税理士から渡された納付書を銀行に持っていき、その場で相続税の納付が完了した。本当にあっけないぐらい簡単だった。
「終わってみれば簡単でしょう」という税理士の言葉の通りだった。相続税の申告と納付を済ませて、喪中はがきを発送した。受け取った父の友人から封書が届き、電話をして父との思い出話を聞いているうちに、ようやく悲しみに触れる時間がやってきた。そして思った。相続の手続きは、故人との別れを悲しむ時間を「後ろ倒し」にしてくれる効果があるのだと。
すべて自分で行う人も
恥ずかしながら、相続税の支払いは、相続税の申告をした後に税務署から納付書が届くのかと思っていた。実際は違った。自分たち(厳密には税理士)で算出した金額を納付する。その後、修正申告ができるとはいえ、やはり慎重にやらなければならない。聞けば遺産分割協議書の作成から申告まですべて自分で行う人もいるそうだが、本当にそれはすごいと思う。「成功のカギは、良い税理士と出会うこと」というのが私の意見だ。なるべく相続税の手続きに慣れていて柔軟性があり根気強い税理士。そんな税理士に出会えたらラッキーだと思う。
相続税の手続きは、もしもミスがあった場合に過少申告加算税(10~15%)が課されたり、悪質な虚偽の過小申告をした場合は重加算税(原則35%)が課されたりすることもあるという。