約650万人いる「団塊の世代」が75歳以上となり、医療や介護の提供が追いつかなくなる「2025年問題」。最期を、あるいは終末期をどう迎えるか。朝日新聞横浜総局の記者が、約3年かけて介護現場などを歩き、書き上げた。
 本書では、妻と両親を一度に介護する「3人介護」、親の介護と子育てが同時期に訪れる「ダブルケア」などの体験や、1970年代末にできた高齢化が激しく進む団地の実像などを通じ、容易に解決できない「根の深さ」を鮮明に描く。
 その一方、家族のように接する在宅医や訪問看護師らの奔走する姿や先進的な取り組みから、記者らは「幸福な看取りや介護は可能なのか」という問いかけを念頭に、その糸口を探ろうと模索する。
 現場は主に神奈川だが、そこからは日本が抱える課題が見えてくる。

週刊朝日 2016年8月19日号