田中はヤンキースで2014年から7年間プレー。1年目から6年連続で2桁勝利を挙げるなど、メジャー通算78勝46敗、防御率3.74の成績を収めた。特にポストシーズンでは8試合に先発、46回を投げて防御率1.76と絶大な安定感を誇った。当時のイメージも残っており、それがファンたちの復帰を望む声に繋がったはずだ。

 12月8日(日本時間9日)にはFAとなった中軸打者のソトがFAでメッツへ移籍したことで、ヤンキースは戦力ダウンは必須。先発投手陣の強化も今オフの課題と言われおり、すでにメジャー通算73勝の左腕マックス・フリード(ブレーブスからFA)を獲得している。

「(MLBでは)田中に興味ある球団は複数あると言われる。高くない年俸で出来高をつけた単年契約ならまとまるのではないか。楽天と決別したのもお金の問題ではないということなので、プレー環境を整えてあげれば納得してもらえるはず。ダルビッシュ有(パドレス)のような投手陣の兄貴分的存在になれる投手」(MLBアジア地区担当スカウト)

 36歳という年齢に加え、昨年10月には右肘の手術を受けた。プロ18年目の今季は開幕からファームでの調整が続き、一軍登板は1試合のみでプロ初のシーズン未勝利。獲得にはリスクは伴うが、実績はあるだけに年俸は抑えて獲得すれば“安い買い物”になる可能性もある。

 仮にメジャー契約でなければマイナー契約から這い上がるというルートもあるが、米国以外のプロ野球でも“需要”はあるという。

「最近は韓国や台湾の球界関係者から田中に関する質問をされることも多い。両国では日本の大エースとして知名度抜群で、戦力としてはもちろん、経験豊かなので若手の手本になり集客も見込める。条件次第になるが獲得したい投手なのは間違いない」(在京球団編成担当)

 今季、韓国プロ野球(KBO)では本塁王となったマット・デビッドソン(元広島)や、メル・ロハス・ジュニア(元阪神)が活躍するなどNPBの元助っ人のパフォーマンスが目立った。NPB経験者を受け入れたい球団は多く、それが田中なら言うことないはず。年俸的もロハスが総額180万ドル(約2億7000万円)で契約を延長しており、NPBには及ばないものの年俸が高騰している韓国では好条件でのオファーもあるかもしれない。

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今季投げなかったことが奏功する可能性も?