ソフトバンクの新人入団発表。支配下・育成合わせて18人が入団した(12月9日)
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 ソフトバンクの新入団選手発表が12月9日に行われ、育成を含む18選手の入団が発表された。一方で、ドラフト会議で育成ドラフト1位指名を受けた日本学園の古川遼が入団辞退の申し入れをしていたことが明らかになった。ソフトバンクで入団辞退の選手が出たのは33年ぶりだという。

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 古川は190センチの直球から角度のある直球とスライダーが武器の本格派右腕。甲子園出場経験はないが、投球スタイルは球界を代表する右腕・ダルビッシュ有(パドレス)と重なる。入団辞退を決断した後、古川は自身のXで、指名したソフトバンクへの謝罪と感謝を述べるとともに、決断に至る思いを綴っている。

「他の高校生に『即戦力』と言われてる人がいる中、そこに入っていない自分の実力が本当に悔しかったです。4年後100%大成する訳では無いということも重々承知しています。ですが、自分には4年後絶対上位でプロに行ける自信があります」

「他の選手に負けたまま同じチームで練習することは出来なかったです。もし大学からプロに行けなかったとしても絶対に後悔はしないです。もう一回プロ野球選手を目指すイバラの道に進みます」

 古川は大学に進んで力を磨き、4年後のドラフトでプロ入りを目指すという。

日本学園の古川遼

「高卒選手が育成で結果を残すのは厳しい」

 大学に進んでも再びプロに指名される保証はないため、これまで育成指名であろうとも、球団から指名を受けた高校生のほぼ全員がプロの世界に飛び込んできた。だが、古川の入団辞退は、その流れに一石を投じる可能性がある。

 スポーツ紙のデスクは、育成選手で入った選手の厳しい現実をこう話す。

「育成契約の選手は2軍でベンチ入りが5人以内のため、大半の選手は3軍で力をつけます。3年以内に支配下昇格しないと自由契約になるので、体作りから始める高卒の選手が結果を残すのは極めて厳しい。自由契約になった後に再び育成で再契約を結ぶケースはありますが、精神的にきつい。その覚悟でプロに入ってきたので悔いはないかもしれませんが……」

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アマ指導者が育成枠指名に抱く複雑な思いとは