高校生の育成指名に新たなルールを
首都圏の大学で指導に携わるプロ野球OBも、「育成枠で高校生を大量指名するのはNPBのレベルを下げるリスクがある」と警鐘を鳴らす。
「メジャーは米国全土や中南米から若手が大舞台を目指す中でふるいに掛けられますが、日本にこのやり方が合うかというと疑問符が付きます。野球の競技人口が減っている中、将来を嘱望された高校生たちが育成枠で大量に入団して、多くが1軍でプレーできずに退団するのは、アマチュア球界だけでなく、長期的に見るとプロ野球にとっても大きな損失です。大卒、社会人卒でも球界を代表する選手は多いですし、決して回り道ではない。大学や独立リーグでプレーする選手ならば、悔いなく野球人生を過ごしてほしいので育成契約でもプロに挑戦してほしいですが、高校生の場合は『育成ドラフト指名は1球団3人まで』など、新たなルールを作るべきじゃないですかね」
反対の意見は当然あるだろう。ソフトバンクの育成枠から飛躍した千賀や甲斐は、高校時代は無名で、育成指名がなければ野球を辞めていた可能性もあった。ただ、育成で高校生を大量に「青田買い」できるドラフト制度や、育成指名選手の多くが戦力外通告を受けている現実を、どう考えるか。球界で議論が起きてもいいのではないだろうか。
(今川秀悟)