企業がすべきは、「売り手市場の中、若者の方が圧倒的強者だと理解すること」と原田さんは言う。
「20代の新入社員にも年収1千万出せるなら別です。出せないなら、若者に合わせるしかない。上司の背中を見て学べとか、社風に染まれなんていまだに言ってるからうまくいかないんです。若者に媚を売りなさい。売れないなら潰れなさいと」
「推し活休暇」で意欲向上、時代に合わせたニンジンを
はてさて、どう媚を売るか。
「やりようはいくらでもあります。たとえば企業の中には『推し活休暇』を設けるところも増えている。給料は上がらずとも、『この会社はわかってる、プライベートを応援してくれるんだ』となるわけです」
あるベンチャー企業は女性社員に対して美容代を毎月1万円出しているという。ネットフリックス代を補助している会社も増えているとか。
「こういうのは若い世代にめちゃくちゃ刺さるんです。昔だったら『課長にしてやる』とか『経費使って飲みに連れていってやる』というのが若手社員の前にぶらさげる『ニンジン』だった。そうじゃなくて今のZ世代を会社側がもっと深く理解し、彼らに合わせたニンジンを作りなさい、という話です。『静かな退職』なんて言って憂えてるだけでは令和の時代は生き残れません」
(編集部・小長光哲郎)
※AERA 2024年12月16日号より抜粋