ソフトバンクの石川

「タフでゲームメーク能力が高い」

 セ・リーグの球団編成担当は、「とにかくタフ。先発ローテーションを離脱しない投手は首脳陣にとって心強いですよ。2ケタ勝利を挙げたシーズンは21年のみですが、ゲームメーク能力が高い。評価で言えば、石川より上です。推定年俸1億4000万円のBランクで人的補償が必要ですが、即戦力投手が欲しい球団は多い。メジャー挑戦を断念することになれば、国内で争奪戦になることは間違いないでしょう」と分析する。

 九里とペナントレースで長年対戦してきたセ・リーグ球団は、実力を熟知している。ヤクルト中日補強ポイントに当てはまるだろう。

 2年連続5位に低迷したヤクルトは、ヤフーレが退団して楽天入りすることが決まり、先発陣の補強が喫緊の課題になっている。民放のテレビ関係者は、「今季規定投球回数に到達した投手はゼロで、2ケタ勝利を挙げた投手もいません。高橋奎二は好不調の波が激しく、エースとしてチームを引っ張ってきた小川泰弘も今季は2勝のみと陰りが見え始めている。九里が国内で移籍する可能性があるなら、獲得に乗り出すべきです。闘志を前面に出す投球スタイルはチーム全体の士気が上がるし、若手投手たちの良きお手本になります」と力説する。

 中日も先発陣が盤石とは言えない。確定しているのは、絶対的エースの高橋宏斗のみ。柳裕也も有力だが、その後が続かない。小笠原慎之介がポスティング・システムでメジャー挑戦の意向を表明しており、ベテランの大野雄大、涌井秀章、松葉貴大は1年を通して稼働するのは厳しい。ドラフトで即戦力左腕の1位・金村夢斗(関西大)、2位・吉田聖弥(西濃運輸)の指名に成功し、先発ローテーション入りが期待されるが、新人に過度な期待は禁物だ。1年を通じて先発で回る九里が味方になれば頼もしい。

 そもそも九里は中日戦に強く、21年から23年にかけて対中日7連勝を記録、「中日キラー」として立ちはだかった。今年は中日戦に6試合登板で2勝3敗と負け越したが、防御率は1.91。打線の援護に恵まれず勝ち星に恵まれなかったが、中日打線を抑え込んでいた。中日にとって“天敵”を味方にする意義は大きい。

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メジャー断念なら広島も全力で慰留へ