“コイキラー”と呼ばれた阪神・大竹

「同じ相手にやられるのはコーチにも責任がある」

 苦手としている投手の対策にも課題が残った。阪神の大竹耕太郎は昨季広島戦に6勝0敗、防御率0.57をマークし“コイキラー”と呼ばれ、今年も3勝1敗、防御率2.08とキラーぶりを発揮した。DeNAの東克樹も昨季は広島戦で4勝0敗、防御率1.84をあげ、今年も4勝2敗、防御率1.91と抑えていた。

「何度も同じ相手にやられるというのは、選手個々の能力の問題だけではなく、コーチ陣にも責任があると思います。広島は高橋慶彦さん、正田耕三さんとコーチ経験が豊富なOBがいるので登用しても良いと思うのですが……。指導者の経験はないですが、前田智徳さんもバックネット裏から広島の野球を見続けている。チームを活性化する意味でも、打撃コーチは重要なポジションです。今年の成績を踏まえて、入れ替えが全くないのは危機感が見られないと解釈されても仕方ない」(広島のテレビ関係者)

 広島にはかつて、鈴木誠也(現カブス)、菊池涼介、丸佳浩(現巨人)を主力として一本立ちさせたコーチがいた。現在DeNAで野手コーチを務める石井琢朗コーチだ。横浜(現DeNA)の主力選手として長年活躍した後、広島で4年間プレーした。引退後は広島で内野守備走塁コーチを務め、16、17年は打撃コーチとしてリーグ優勝に貢献した。当時広島を取材していたスポーツ紙記者が、石井コーチの指導を振り返る。

「個々がやるべきことを明確に伝えるので、選手が迷わない。質だけでなく、練習量も凄かったです。あと、試合で凡打の質にこだわっていたことも印象的でした。相手バッテリーが抑えにくる中で、気持ちよく打てる打席は少ない。アウトになっても走者を進める打撃ができれば得点の可能性が上がる。あの時の広島は劣勢の展開でも、ビックイニングで試合をひっくり返す破壊力がありました」

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1軍打撃コーチはコーチ歴20年のベテラン