チームを変革する手段は、選手補強だけではない。今年球団ワースト記録のシーズン91敗を喫した西武は、西口文也新監督が就任し、コーチ陣も大幅なテコ入れを敢行。ヘッドコーチに鳥越裕介氏、1軍野手チーフ兼打撃コーチに仁志敏久氏、内野守備・走塁コーチに大引啓次氏ら、これまで西武にゆかりがなかった指導者を外部招聘した。
【写真】昨年・今年で広島戦は9勝1敗、“コイキラー”と呼ばれる投手はこの人
セ・リーグでは球団史上初の3年連続最下位に低迷した中日が、「平成唯一の三冠王」松中信彦氏を1軍打撃統括コーチに、飯山裕志氏を野手総合コーチに新たに外部から招聘。井上一樹新監督の下で、課題の得点力アップに注力する。
コーチ陣の変革に動いたのは、下位に低迷した球団だけではない。4年ぶりのV奪回を飾った巨人は、オイシックス新潟アルビレックスBC監督だった橋上秀樹氏が作戦戦略コーチとして11年ぶりに復帰。下克上で26年ぶりの日本一に輝いたDeNAも村田修一氏が野手コーチとして14年ぶりに古巣に戻ってきた。
その中で異色に映ったのが、広島だ。11月24日に2025年度のコーチングスタッフが発表されたが、1、2軍の全コーチが留任。今季限りで現役を引退した野村祐輔氏が3軍投手コーチ兼アナリストに就任した以外は目立った人事異動はなかった。
スポーツ紙デスクが首をかしげる。
「シーズン終盤に大失速した広島は、得点力不足が大きなネックになりました。苦手な投手に同じようなパターンでやられるケースが多く、打線全体の狙いが見えなかった。打撃コーチはテコ入れすると思ったので、1、2軍で全員残留は驚きましたね」
今年8月終了時点には貯金13で首位に立っていたが、9月以降に7勝22敗と大失速。打線がつながらず、投手陣が我慢できずに崩れてしまう試合が続いた。今年の415得点はリーグ5位。リーグトップの522得点をたたき出したDeNAより100点以上少なかった。クリーンアップで期待されたジェイク・シャイナー、マット・レイノルズの両助っ人がほとんど稼働せずシーズン途中で退団。和製大砲の末包昇大も故障が目立ち、79試合出場で打率.238、9本塁打、37打点と不完全燃焼だった。新井貴浩監督も選手の起用法に苦心しただろう。