エンディングノートには延命治療の希望を問う欄もある。女性は「助かる見込みがない場合は一切の延命治療はしないでほしい」という項目にチェックを入れ、人工呼吸器の使用などを拒んでいる。
「家族は延命治療を望むと思うので、そういうことがないよう意思表示しておくのは大事だと思いました」
できれば、親にもエンディングノートを書いてほしいと考えている。
「残される側としては、しっかり意思表示しておいてほしいと思います。それが周囲に迷惑をかけないことになると思うからです」
「終活スナック」を訪ねるZ世代も
「生や死について気軽に話し合える場になれば」と今年2月にオープンした終活スナック「めめんともり」。常連は中高年層がメインだが、20代もたまに訪れる。
「月に1人か2人は若い子が一人でぽつりと現れます。たいていは新幹線や夜行バスに乗って遠方から来ます」
こう話すのはママを務める村田ますみさん(51)。日本に海洋散骨を広めたパイオニアだ。
若い客は女性がやや多い。中にはゴスロリの衣装に身を包んだ女性も。村田さんは「まずは話を聞く」ことを心掛けている。
「身の上話や親との関係を話してくれる子もいます。『ねえねえお母さん、昨日こういうことがあってね』という感じで、娘としゃべっている気になります。こちらから何かアドバイスすることはないですね」
村田さんは頻繁に海外出張し、世界の葬送に関する情報をアップデートしている。10月に訪れたのは米国・ニューオーリンズで開かれた「全米葬祭ディレクター協会」の主催イベント。火葬が増えている米国で、Z世代は土葬回帰の傾向があるなど、上の世代とは異なる価値観が浮かぶという。日米でかなり様相は異なるが、自分らしさへのこだわりはZ世代に共通するようだ、と村田さんは指摘する。
「自分の死をデコレーションしたい感覚というか、自分らしさを表現するために死が最適だと考えているように感じます」