終活スナック「めめんともり」の店内には、デザイナーの布施美佳子さんが手がけた棺桶などの終活グッズが多数展示されている(撮影/写真映像部・上田泰世)
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 今年2月に都内にオープンした終活スナック「めめんともり」。ここには日本各地から20代の若者も訪れる。「最期の舞台」にこだわるZ世代の終活の実態に迫った。AERA2024年12月2日号より。

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 インターネットリサーチ会社「楽天インサイト」が今年1月、20〜69歳の男女を対象に行った調査によると、20代で終活をする意向のある人は男女ともに4割を超えている。

20代の中で終活を「実施している」と答えた人は男性で3・5%、女性で2・5%。「近いうちに始める予定」を合わせると男性7%、女性6・2%だった。また、「予定はないが時期が来たら始めたい」を合わせると男性で41・9%、女性で49・4%に上った。

 若い世代の終活意識の背景には何があるのか。

 米津玄師が手がけたNHK朝ドラ「虎に翼」の主題歌「さよーならまたいつか!」が大音量で流れる室内の中央に安置された棺に納まるのは、東日本在住の会社員の20代女性。棺の中には女性が大好きな推しのグッズも一緒に納められている。これは終活スナック「めめんともり」(東京都江東区)で9月に行われた入棺体験のワークショップの1シーン。女性は参加動機をこう話した。

「アニメの登場人物のセリフで『お葬式は自分が主役になれる最期の舞台』というのがあり、せっかくなら意識があるうちに体験したいと思いました」

思ったより狭く、天井も低かったが、怖いとは感じなかった。むしろ、「やってよかった」と思った。

「自分が死んだらこんな感じになるんだ、とイメージできました」

最期まで自分らしく

 女性は11月中に生前葬を予定している。

「自分が生きているうちに、自分の理想の死に方を選び取りたいと思いました」

エンディングノートに希望の葬儀のスタイルを記しても、家族の理解が得られなければ型通りの葬式しかやってもらえない可能性がある。であれば、お気に入りのドレスを着て、好きな音楽やグッズに囲まれて自前でやってしまおうと考えた。

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「最期の舞台」にこだわるエネルギーはどこから湧き出るのか