来年春のセンバツ高校野球の選考基準となる地区大会も全国で終了し、10地区での優勝校が決まった。今年春から導入された新基準の金属バットの影響もあってロースコアの接戦が多かったが、その中で目立ったパフォーマンスを見せた来年以降のドラフト候補について紹介する。
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投手でまず最も強いインパクトを残したのが石垣元気(健大高崎2年)だ。今年春、夏の甲子園にも連続で出場し、150キロを超えるスピードをマークして話題となったが、新チームになってさらにスケールアップした姿を見せている。県大会では最大のライバルである前橋育英を相手に7回を投げて14奪三振で完封(7対0で7回コールド勝ち)。さらに続く関東大会でも準々決勝の佐野日大戦で最速158キロをマークしたのだ。
会場となった等々力球場のスピードガンは一般的なものよりも5キロ程度速く表示されており、実際はここまでの数字は出ていないとのことだが、数字が出づらい保土ヶ谷球場のガンでも154キロをマークしており、2年秋の時点でこのスピードはなかなかいるレベルではない。課題だったコントロールや変化球も春、夏、秋と着実にレベルアップしている印象を受ける。チームは惜しくも関東大会の決勝で敗れたものの、来年春のセンバツ出場は確実な状況であり、高い注目を集めることは間違いないだろう。また健大高崎の投手では2番手の下重賢慎(2年)も完成度の高いサウスポーで、順調にいけばドラフト候補になりそうだ。
近畿大会で圧巻の投球を見せたのが阪下漣(東洋大姫路2年)だ。西宮ボーイズ時代から地元では評判の投手で、1年秋には主戦となっている。最大の持ち味はその高い制球力だ。近畿大会では4試合、27回2/3を投げて1失点で、許した四球はわずかに1。準々決勝の大阪学院大高戦では90球で完封勝利をおさめ、“マダックス”(100球未満での完封)も達成している。ストレートは140キロ台前半が多く、驚くような速さがあるわけではないが、1回から9回までスピードが落ちない。緩急をつけるカーブと、打者の手元で鋭く変化するスライダーの精度も高く、走者を背負ってからの落ち着いた投球も光る。チームは見事に近畿大会で優勝を果たしており、11月20日に開幕する明治神宮大会でもそのピッチングにぜひ注目してもらいたい。