近畿大会では森陽樹(大阪桐蔭2年)、宮口龍斗(智弁和歌山2年)もさすがのパフォーマンスを見せた。森は初戦で滋賀学園を相手に6回途中3失点(自責点1)で降板し、負け投手となったものの、筆者のスピードガンで最速150キロをマーク。少しテイクバックの動きを小さくしたが、それでも長い手足を生かしたダイナミックなフォームは迫力十分だ。130キロ台のスライダー、カットボールも鋭く横に滑り、空振りを奪えるボールだ。センバツ出場は絶望的な状況だが春以降も注目の投手である。
一方の宮口は近畿大会3試合に全てリリーフ登板し、合計9イニングを無失点、8奪三振という見事な投球でチームの準優勝に大きく貢献した。県大会でマークした152キロという数字は少しスピードガンが甘いという話だったが、それでもコンスタントに140キロ台中盤を計測するなどボールの勢いは申し分ない。まだストレートのコントロールはアバウトでも、意外に変化球を器用に操ってカウントをとれるのも長所だ。秋はリリーフでの登板に終始しただけに、春以降は長いイニングでどんな投球を見せてくれるかが楽しみだ。
それ以外の投手では愛知県大会の初戦で敗れたものの芹沢大地(高蔵寺2年)が抜群のパフォーマンスを見せた。県内の実力校である桜丘を相手に6回を投げて被安打2、10奪三振で無失点と快投。続く尾東大会というローカル大会でも県大会で享栄、愛工大名電を破った強豪の中部大春日丘を被安打1、15奪三振で完封と完璧に抑え込んで見せたのだ。まだまだ体は細いもののバランスの良いフォームと鋭い腕の振りは抜群で、140キロ台中盤のストレートを両サイドにしっかり投げ分けることができる。スライダー、チェンジアップなど変化球のレベルも高い。サウスポーでは現時点で最注目の選手と言えそうだ。
野手は投手に比べると現時点で有力候補は多くない印象を受けるが、この秋に目立った選手では川尻結大(仙台育英2年・捕手)、小堀弘晴(健大高崎2年・捕手)、増田湧太(大阪桐蔭2年・捕手)、高田庵冬(仙台育英2年・一塁手)、蝦名翔人(青森山田2年・二塁手)、西田瞬(浦和学院2年・二塁手)、赤埴幸輝(天理2年・遊撃手)、窪田洋祐(札幌日大2年・外野手)、松下哉大(鶴岡東2年・外野手)、阿部葉太(横浜2年・外野手)、東大輝(小松工2年・外野手)、見村昊成(東洋大姫路2年・外野手)、奥駿仁(西日本短大付2年・外野手)などの名前が挙がる。蝦名、赤埴の2人はプロから需要の高い大型の二遊間の選手であり、スケールも申し分ないだけに楽しみな存在だ。また外野手では高いレベルで走攻守揃った阿部に注目が集まる。