世界一の投手になると確信して高校時代から追いかけてきた。フルスロットルでの全力投球を目の当たりにした時には感動すら覚えた。しかし身体の不調を感じたのか自ら出力を抑えている姿も見てきた。

「高校2年の時から見ています。3年に進級する直前の3月31日、作新学院との練習試合でのことが印象的です。気温が10度にもとどかない中でしたが最速が156キロを記録しました。寒い中でも真っ直ぐが速くて質が素晴らしく制球も良かった。スライダーのキレも素晴らしかったです」

「高校生年代ではこれまで見た中で世界最高の右投手だと感じました。20年以上数多くの選手を見てきました。国際大会、米国、オーストラリアも見ています。メジャーやマイナーでトッププロスペクト(将来性抜群選手)もチェックしています。その中で右投手として世界ナンバーワンだと思いました。ちなみに左投手はアロルディス・チャップマン(ヤンキース)。台湾の世界大会で見た高校生のチャップマンが世界一でした」

「『サイ・ヤング賞を獲れる投手』と当時スポーツ紙の取材にも答えました。サイ・ヤング賞は世界一の投手のことです。それだけの資質を持っていると確信していました。高校時代で比べれば大谷翔平(エンゼルス)、ダルビッシュ有(パドレス)、田中将大楽天)、前田健太(ツインズ)らよりも佐々木の方が上でした」

 チャップマンは07年に台湾で開催された第37回IBAFワールドカップにキューバ代表として出場。細身の長身から剛球を投げ込み大会最優秀左投手に選出された。現地で視察した大慈彌氏は、その後のメジャーでの活躍を確信したというが、同等の評価を佐々木に下していた。

「佐々木は自己管理能力に長けているのが最大の長所。身体に少しでも異変を感じたら出力を落とすことができます。メジャーやプロのスカウトが常にマークしていると意識し過ぎて無理をしてしまう選手もいます。しかしそういう部分がありませんでした。置かれた状況下で最も大事なことを理解していて自分を律することができます」

暮らしとモノ班 for promotion
2024年この本が読みたい!「本屋大賞」「芥川賞」「直木賞」
次のページ
佐々木は自己管理能力に長けている?