「投球フォームに関して、テイクバック時に後ろが大きい部分は高校時代からありました。可動域が広く身体全体に柔軟性がある投手は後ろが大きくなる傾向があります。でもこれは修正可能な部分で疲労や負担の軽減につながるはずです。大谷やダルビッシュも以前はそうでしたが最近はコンパクトになりました。佐々木もプロに入ってから少しずつ修正できていて去年より今年の方が小さくなっています」
「トミー・ジョン手術は避けられたら良いのですが剛球投手の宿命でもあります。しかし今はメンテナンスの1つで故障ではないという認識です。MLB各球団エース級の多くが受けており、術前よりも確実にパフォーマンスが上がっている。どのタイミングになるかはわかりませんが、違和感を感じたまま騙しながらやるのではなくポジティブに考えて欲しいものです」
周囲はさらなる期待を寄せるだろうが、自身のペースを維持することも重要だ。自分の身体と相談して無理をせずに投げることさえできれば、結果はおのずとついてくる。
「普段は150キロ前半くらいで投げて大事なところでギアを入れ160キロくらいを投げる。そういった強弱ができるようになれば良い。元々持って生まれた資質、投球センスもあるし経験を積めばそういうこともできるはずです。もしかするとまだ100%で投げていないかもしれない。本気なら170キロが出るかもしれませんよ(笑)」
完全試合で見せた投球は間違いなく球界の伝説として語り継がれる偉業だ。今後どこまで凄い投手になるのかは誰にも想像できない。1つ言えるのは、佐々木朗希と同じ時代に生き、投球を見られることができて幸せということだ。(文・山岡則夫)
●プロフィール
山岡則夫/1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌『Ballpark Time!』を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、編集・製作するほか、多くの雑誌、書籍、ホームページ等に寄稿している。Ballpark Time!公式ページ、facebook(Ballpark Time)に取材日記を不定期更新中。現在の肩書きはスポーツスペクテイター。