佐々木朗希のメジャー挑戦が話題を集めている。ロッテは11月9日、佐々木のポスティングシステムによるメジャー移籍を承認したと発表した。入団時からメジャー志向を明らかにしてきた「令和の怪物」がいよいよ海を渡る。はたして佐々木はメジャーで活躍することができるのか。かつてMLBスカウトが語った"さらなる成長"へのカギとは?(この記事は「AERA dot.」で2022年4月25日に配信した内容の再配信です。肩書や情報などは当時のまま)。
* * *
今シーズン、圧倒的な投球が続いている佐々木朗希(ロッテ)はこのまま順調に成長することができるのか。
「今後、記録はいらないから実を取る投球をすることで大投手になれる」
日本初のメジャーリーグスカウトとして知られる大慈彌功氏は少し異なった視点から見ている。
高校時代からマークし世界一と賞賛する右腕に対する理想の成長プランや期待値を語ってくれた。
「完全試合という結果が素晴らしい。細かい部分ではオリックス打線の調子が悪かったとか、審判の判定も有利に働いた部分があります。でも投手としての実力に加えて運、巡り合わせが全て揃わないとできない記録です。大投手が大記録を作ったということです」
4月10日の完全試合達成はスポーツの枠を超えてのビッグニュースとなった。昨年のパ・リーグを制したオリックス打線を「パーフェクト」に抑え込んだ。それだけでは終わらず翌週17日の日本ハム戦では2試合連続の完全試合は逃したが、8回終了までパーフェクトを継続しての降板となった。海の向こうでも「ロウキはいつメジャーリーグに来るのか?」とメディアがこぞって取り上げるほどの過熱ぶりだ。
「完全試合の翌週も同じような投球スタイル。これを続けていると身体には間違いなく負担がかかってしまいます。常に高い期待をされることでメンタル面での重圧も計り知れない。今後は良い意味での強弱をつけて欲しい。完全試合をした。13者連続奪三振の日本記録を作った。1試合19奪三振も日本タイ記録。これ以上の記録はいらないから無理をせずチームの勝利のために実を取る投球をして欲しいです」
「今は160キロ前後の真っ直ぐと140キロ台中盤のフォークがほとんどです。この2つは投手にとって負担が大きい球種です。長いシーズンでは故障の危険性も高くなってしまいます。見せ球でも良いのでカーブなどの緩いボールをもっと使って欲しいです。現状でもムダ球を使わず3球以内で勝負できる投手ですが、球数を減らせてエネルギー温存にもつながるはずです」