加えて、大谷は投手としても、世界で10指に入る実力がある。22年にはデータサイトFanGraphsの算出したWAR(選手が生み出した価値を表す指標)で、メジャーの投手全体で5位にランクインした。これまで通りの活躍を1年を通してできれば、25年もMVPは間違いない。現時点で、来年のMVPを予想しろと言われれば、専門家は真っ先に大谷の名前を挙げるだろう。

 ただし、唯一の懸念は健康状態だ。特に、肘の手術が投球にどのような影響を及ぼすかは未知数である。

「トミー・ジョン手術を2回受けた投手の実績を見ると、術前と同じ成功を収めている選手は多くない」とフレッチャーは言う。

「ですから、彼が以前のような投球ができるかには疑問が残ります。個人的にはそう願っていますが、少し時間がかかるかもしれません。シーズンの初めは少し苦労するかもしれませんが、シーズン末までには調子を取り戻していくような形になるかもしれません」

夢の舞台で二刀流?

 再び投手としてプレーすることで、今季急増した盗塁の数は減るだろう。盗塁には相手投手の癖を研究する時間と労力が必要だが、投球の準備に割かれる時間も増える。体力的な負担も軽減せざるをえない。何より、盗塁には怪我のリスクがある。

 ワールドシリーズ第2戦で、スライディングの際に左肩を負傷したことは記憶に新しい。関節唇断裂の修復手術を受けたとドジャースは発表した。スプリングトレーニングが始まるまでには回復する見込みだというが、投手としての復帰時期に影響を与えるかもしれない。

 大谷はワールドシリーズ制覇というドジャースに移籍した最大の理由でもある大きな目標を、1年も経たずに成し遂げた。しかし、ポストシーズンでの個人成績には、ファンだけでなく本人も物足りなさを感じたかもしれない。野球は運が大きく絡むスポーツであり、実力のある選手でも短期間のシリーズでは、結果が出ないことも珍しくない。

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ドジャースは来季も優勝最有力候補と見られている