私も同感だ。50本塁打・50盗塁は確かに素晴らしいが、近年では、41本塁打・73盗塁を記録したロナルド・アクーニャ・ジュニアや、2年連続で30-30を達成したボビー・ウィット・ジュニアなど、パワーとスピードを兼ね備えた選手が登場している。このため、将来的に50-50を達成する選手は出るかもしれない。しかし、投打の二刀流で圧倒的な成績を収める選手は、今後も現れないだろう。大谷はその偉業を3年間にわたって継続してきたのだ。
来季、大谷は投手として復帰することが見込まれている。エンターテインメントの聖地ロサンゼルスに本拠地を置く人気球団ドジャースで、再び二刀流での活躍を見せ、ポストシーズンでもその実力を発揮すれば、エンゼルス時代とは比べものにならないほど話題を呼ぶだろう。そして、二刀流の価値が、真に世間で評価されることになるかもしれない。
予測モデル超える存在
その大谷は、二刀流でどれほどの数字を残すのだろうか?
21年以降の大谷は、統計データから導き出される予測数値を上回る活躍を続けている。普通なら、年齢やプレースタイルが似ているメジャーリーガーの過去のデータから、「大活躍してMVPをとっても、次の年は成績が下がる可能性が高い」と予測される。例えるなら、サイコロを振って6が出たような幸運な活躍が続くのは難しいということ。
しかし大谷の場合、他の選手にとっての「6」が、彼にとっては「いつも通りの3」に過ぎないようなものだ。つまり、他選手と同じ基準で測ると予測が追いつかないほどの高い実力を、大谷は日常的に発揮している。従来の基準では測りきれない抜けた存在だということだ。
24年の大谷は、打撃力を端的に示すwRC+という指標で、メジャー平均を81%も上回る数値を記録している。大谷の上にいるのは、メジャー史上屈指の強打者であるヤンキースのアーロン・ジャッジだけ。現時点で、大谷は世界No.2の打者だということだ。