モノを手放すコツがわかったみえさんは、家の中からどんどん使っていないモノやいらないモノを出せるようになりました。
大変だったのは、モノの定位置を決める作業。当たり前ですが、モノが定位置に収まっていれば、家の中は散らかりません。子どもが家に帰ってきてからテレビを見る前に、どうやったらカバンや身の回りのモノを定位置に置いてくれるのかを徹底的に観察しました。
「定位置を決めてみると、その日はきちんと戻してくれるのに次の日はダメ、というのが続きました。いろいろ考えて、私の意見で決めつけずに、子どもの価値観や目線を尊重すると子どもも喜んでくれましたね」
さらに、子どものコップを取り出しやすい位置に置いてみると、自分のタイミングで好きなコップを取り出すことができてうれしそう。みえさんは頼まれてコップを取る手間が省けて、一石二鳥です。
「ほかにもお茶碗を炊飯器の近くに置いたり、使うモノを使う場所の近くに置くことがこんなにラクだなんて知りませんでした!」
どこに何があるかわかっていて、取り出しやすく戻しやすい。夫も動きやすそうで、それまでも協力的だった家事をさらに積極的にやってくれるようになりました。片づけ前には全然くつろげないと思っていた家が、快適に機能し始めたのです。
片づけ終わった今では、キッチンのフライパンや調味料はムダな動きをせずにサッと取り出すことができます。面倒だった料理が、とてもスムーズにできるように。
「みんなで使うキッチンは、引き出し一つでも片づけ終わると『ジャーン! 見てみて!』と発表したんです。そしたら息子は『すごいねー!』とうれしい言葉をくれましたね。私もそれに対して『ありがとう』を言ったら、それに対してもまた『ありがとう』を返してくれて(笑)。でもそのおかげで、家族で『ありがとう』って言い合うことが増えました」
散らかっていたときにみえさんが家族に発していたトゲトゲした言葉は、「ありがとう」に変わりました。さらに、みえさんが大きく変化を感じたのは、時間の使い方です。
「10分をすごく使えるようになりました。『10分しかない』じゃなくて、『10分あるから、これができるな』になりました。やらなきゃいけないことを細分化できて、少しずつでも進められる。これがわかったのがよかったです」
この発想の転換と片づけは、もともとあった仕事の悩みも解決してくれました。