国民民主党・玉木代表の「詭弁」
この仕組みは非常に良くできていて、そう簡単には消滅しない。だから自民は常に復活してしまうのだ。
逆に言えば、この仕組みを根本からなくしてしまえば、自民が復活することは非常に難しくなる。なぜなら、自民は金なしの選挙ではとても勝てない議員ばかりだからだ。
企業・団体献金廃止は、自民党議員にとっては、死刑宣告に等しい。したがって、到底実現するはずはないと誰もが考えてきた。
現に、リクルート事件の後の政治改革では、企業・団体献金廃止と政党助成金の導入がセットで決まったのに、企業・団体献金はしっかりと生き残ってきた。
しかし、今、石破茂首相の決断次第では、それが実現する可能性が出てきたのではないかというのが私の見方だ。
ただし、石破首相は退路を断って、自民党を崩壊させ、その後の与野党を超えた政界再編に自らの政策実現を賭けるという決断をする必要がある。
前述のとおり、国民は、従来の政党による連立政権よりも政界再編による新たな政権の枠組みを求めている。
一方で、石破首相は自民党の中にいる限り、従来の利権構造に乗った重鎮議員たちに足を引っ張られてやりたいことができない。その結果、石破氏自身への国民の支持も大きく下がってしまった。石破氏にとって、もはや自民党に所属する意味は失われたと言っても良い。
自民党を守るために自らの思いを封印するよりも、自己に託された国民の思いを実現するために新たな道を拓くためのリスクを取る価値は十分にあるのではないか。
その道とは、企業・団体献金の廃止により、自民党の息の根を止めるということだ。
もちろん、闇雲に突っ込んでも討ち死にするだけだから、事前に十分な実現可能性の評価をしておかなければならない。
まず、衆議院の状況を見てみよう。
今回の衆議院選挙の公約を見ると、立憲民主党、日本維新の会、共産党、れいわ新選組、社民党、参政党などの会派は企業・団体献金禁止に賛成だ。ただし、これらを合わせても207議席で過半数の233にはあと26不足している。
国民民主党は28議席を有するが、政策だけでなく、野党の中では体質も自民党に最も近く、連合などとの関係もあって、企業・団体献金禁止には反対だ。
衆議院選挙後、国民民主党の玉木雄一郎代表は、企業・団体献金について、「全ての政党が(禁止で)一致するのであれば反対するものではない」と述べている。しかし、自民党が賛成することはないので、これは言い換えれば、「自民党が反対する限り、国民民主も反対する」と言っているのとほぼ同じことになる。金権政治打破のためのカギとなる企業・団体献金禁止に反対なのだから、国民民主党は存在意義がないどころか、むしろ有害な存在だと言うべきだろう。