古賀茂明氏
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 先週配信の本コラムの最後に、共同通信の世論調査で望ましい政権の枠組みについての質問をしたところ、「立憲民主党を中心とした多くの野党による政権」が24.6%、「自公に日本維新の会などを加えた政権」が19.3%、「自公の少数与党政権」が18.1%だったのに対して、「政界再編による新たな枠組み」が31.5%と最多だったことを紹介した。

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 国民の現在の与野党に対する不満は限界点を超え、政界再編まで求める段階に入ったことを示している。

 確かに、現在の与野党を見ている限り、どの政党を中心にした政権を作っても、今の日本の危機的状況を打開できそうな気がしない。

 これまでも、自民党の分裂や野党の離合集散などさまざまな政界再編と言われる現象が生じ、その過程で政権交代が起きたこともあった。

 しかし、気がついてみると、結局は、自民党中心の政治に戻ってしまうということを繰り返している。その結果、国民が求めた「日本政治の抜本的変革」は常に頓挫し、旧態依然の自民党を中心とした「政官財トライアングルの金権政治」が継続してきたのである。

 今回は、まず、どうしてそうなってしまうのかということから考えてみたい。

 ここではまず、ある自民党の重鎮議員A氏の言葉を紹介しよう。その中に、重要なヒントが隠されているからだ。 

 私がA氏の議員会館の部屋で2人だけで話していた時のことだ。A氏に「自民党は腐り切っていて、もう望みはないように思います。離党して野党の一部と組み、超党派で政界再編をしかけたらどうかと思いますが」と尋ねてみた。「NO」という答えを予想していたが、思いがけず、こんな答えが返ってきた。

「古賀さん。私もそういうことは考えますよ。もはや自民党なんかどうなっても構わないと思う時も多い。でも、野党の人と組んだらどうかと考えた時、一つどうしても引っ掛かることがあって、そこで思考が停止してしまうんですよ」

 引っ掛かることとは何か、とさらに聞くと、

「それは、野党の人は、いいことは言うけど、選挙に弱い人が多いんですよ。与党の失策で野党に風が吹いた時は、すごく選挙に強いのですが、その風が止むと、全く票が集まらないというのを目撃してきました。そうすると、命懸けで政界再編を仕掛けても、次の選挙で頓挫するのではないかという恐怖感が生まれるんですね。その恐怖を乗り越えることができず、二の足を踏むんです」

 ということだった。

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自民党は必ず息を吹き返してきた