政官財の利権の中核が「企業・団体献金」

 確かに、過去に何回か自民議員が新党を作り、超党派で自民に対抗する勢力を作るという動きはあった。最初の時点では、「もう自民党も終わりだ」などと言われ、新党が新しい希望の星に見えたものだ。

 しかし、長くても数年のうちに、新しい勢力は、選挙で票を集めることができなくなったり、分裂したりで勢いを失い、その一方で、自民党は必ず息を吹き返して、権力の座に戻ってしまった。

 そうなると、自民党を出た議員は悲惨だ。頼みの野党の同志議員はいなくなり、自民に復党を申し出ても簡単には許されない。屈辱的思いを抑えて頭を下げ、ようやく復党が許されても、党内ではしばらく干され、雑巾掛けから再スタートということも覚悟しなければならない。

 このように、離党はあまりにもリスクが高いので、普通の議員はそんなことは考えなくなる。

 だが、このストーリーの中にはあるヒントがある。それは、離党しても、自民党という政党が存続し続け、しかも、弱小政党になることはなく、強力な政党として復活するパワーを秘めているという前提があるから、リスクが高いという判断になるということだ。

 過去のリクルート事件からの復活劇を思い出す方も多いだろう。

 では、なぜ、自民は不屈の復活力を有し、逆に、野党はパワーを持続することができないのだろうか。

 原因はいくつかあるが、最も決定的な理由は極めて単純な事実にある。

 これを野党の側から見ると、わかりやすい。

 野党は、自民党と異なり、「支持者に利権の配分をする代わりに、選挙のための票と資金を提供してもらう」という交換の仕組みを持っていない。

 野党から与党になって権力を握っても、その仕組みは簡単には作れない。慌てて作ろうとすれば、収賄罪や公職選挙法・政治資金規正法などの違反に問われることになってしまう。

 一方、自民党は、幾つものスキャンダルで失敗を重ねながら、長年かけて、「証拠を残さず阿吽の呼吸で機能する」政官財の利権のトライアングルを作り上げてきた。

 その中核をなすのが「企業・団体献金」だ。

 その構造は、野党に転落した時期にもすぐにはなくならず、与党に復帰したところで復活する。財界も官界も自民が野党である間はその仕組みを裏で温存しつつ、政権交代で自民が復活するのを待っているのだ。

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国民民主党は存在意義がない