企業・団体献金禁止は自民党への決定打に
これはよく知らない人が多いので、マスコミは、玉木氏を持ち上げる報道をするのではなく、この点をしっかりと国民に伝えるべきである。
いずれにしても、国民民主の賛成が得られなければ、衆議院で企業・団体献金禁止の法案を出しても可決できない。
そこで、石破首相の決断が必要になる。企業・団体献金禁止を容認する姿勢を打ち出して、自民党内で大議論を巻き起こすのだ。自民内で20人程度の賛成者を出し、党議拘束を外すと宣言して、国民民主に協力を要請する。有権者の視線は、玉木氏に集中し、ポピュリストの玉木氏は賛成に回らざるを得なくなる。万一賛成しないという姿勢を見せれば、国民民主だけ悪者になってしまい、来夏の参議院選挙で大敗することが確実だからだ。
一方、法律を通すためには原則として、参議院でも過半数が必要だ。参議院では、企業・団体献金禁止に賛成する野党勢力は、沖縄の風を含めても78議席で、国民民主を入れても89議席。欠員を除いた240議席の過半数121には、32議席も足りない。自民113議席の中から32人の造反者を出すのはかなり難しいことである。
しかし、石破首相が企業・団体献金禁止を掲げ、野党と協力して、来夏の参議院選挙の改選議員の選挙区に刺客を立てたり、あるいは、野党候補を応援する姿勢を見せたりすれば、落選するよりはましだという判断で、賛成に回る自民党議員が増える可能性は高い。
ただし、それでも、賛成多数にまで持っていくのは大変だ。
そこで、衆議院で企業・団体献金禁止の法案を可決して参議院に回し、参議院で否決されたら、これをテーマとして掲げて国民に信を問うという名目で衆議院を解散して衆参ダブル選挙を行うのだ。
法案に反対する議員の多くは落選するだろう。
自民党は、参議院でも多数の落選者を出すが、石破首相にとっては、もはや自民党がどうなるかは問題ではない。
とりわけ、選挙後の国会で企業・団体献金禁止の法律が成立すれば、もはや自民党は羽をもがれた鳥と同じで、二度と舞い上がることはできなくなる。
国民民主の勢いも大きく削がれるだろう。
自公中心の政権は崩壊するが、石破氏が自民党を離党し、新党を作れば、与野党を超えて、多くの議員が集まる可能性は高い。また、野党も分裂し、新しい政党を作ることになるだろう。
自民党復活の可能性がないとなれば、その時こそ、与野党を超えた本物の政界再編につながるはずだ。その後は、金で動く政治はなくなり、国民本位の政治を行う環境が整う。
その後は、政策と人格で勝負する選挙になるだろう。
夢のような話だと思うかもしれないが、石破首相の決断次第で、実現できる可能性はある。