AERAで連載中の「この人のこの本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。
著者の平石直之さん流ファシリテーションの極意を7日間で身につけられるストーリー漫画仕立ての講義本。漫画家・春原弥生さんの親しみやすい絵柄で、会議の進行に悩む女性に平石さんがアドバイスしていく。社内でよくあるシーンが数多く盛り込まれ、失敗の理由や対策も解説。成功を助ける鉄板フレーズは、アナウンサーの平石さんらしく、どれも平易で口にしやすい一冊となった『マンガでカンタン! ファシリテーションは7日間でわかります。』。平石さんに同書にかける思いを聞いた。
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多様性を尊重し、個々の意見を取り入れることは大切。でも、会議となると難しい。仕切りがうまくいかないと、好き勝手な発言が飛びかい、雰囲気は悪くなり、話は一向にまとまらない。進行役の私は、一体どうしたらいいの?
そんな切実な悩みにファシリテーションの力を生かそうというのが本書。会議の進行を任された一人の女性が、著者の平石直之さん(50)からきめ細かなアドバイスを受け、7日間で成長していく。漫画仕立てなので、ファシリテーションを初めて学ぶ人にもわかりやすく、読みやすい。
「漫画ならではの見せ方を生かしたので、うまくいったり、失敗したり、ストーリーはスリリングです。視覚的にも理解しやすいと思います」
平石さんは、今でこそ新しい未来のテレビ「ABEMA」のニュース番組「ABEMA Prime」で、多様な論客を鮮やかに仕切る「猛獣使い」と呼ばれたりしているが、番組が始まった当初は、スムーズな進行とは言えなかった。
「番組が混乱し、視聴者からコメント欄に『平石、仕切れ!』と書かれたこともあります。自分なりに試行錯誤を重ねて身につけたノウハウが、じつはファシリテーションの極意だったのです」
平石さんは、ファシリテーションを「“人が集まる場”のコミュニケーションを円滑にして、成果を最大化する技術」と話す。役割を理解し、技術を身につければ、誰でも実践できる、とも。