大野誠一さん(おおの・せいいち)/1958年生まれ。リクルートで「ガテン」等の編集長を歴任。パナソニック等を経て2017年、ライフシフト・ジャパン設立(写真:本人提供)

 旧式の人生のステージ構成でいうと、引退という最後のステージがようやく目前に見えてきたところで、シフトチェンジを強いられるようなもの。「計算間違いでした。人生はやっぱり80年です」と発表される奇跡を祈るのみ、という気持ちもわからないでもない。

 例えば、知り合いの女性編集者(53)も、長くなりそうな人生での身の振り方について、こんな悩みを抱えている。

「定年は7年後。これまでの人生を考えると、7年なんて秒でやってくる。去年あたりまではセカンドキャリアも楽しいかもと夢を描いていたものの、本当の秒読みが始まってみると、マンション価格の高騰などで状況が大きく変わっていました」

 彼女の場合、定年再雇用は「古巣にしがみついているようで」気が進まない。

「『0円物件』のサイトを見て北海道の廃校で暮らすことを夢見たり、早期退職してワインの醸造家になった先輩女性に憧れたり」と夢はあちこち広がるが、まだ現実的なプランが何ひとつないことがポイントだ。

「そうだ! きのこ類ならほうっておいてもできますよね。きのこ農家もいいですよね!」

 でも初期投資に1千万円くらいかかることもあるみたい。何だってラクじゃないんだってば……と、すでに会社員なら定年になっている年の自分は先輩風を吹かせてみるが、内情は、この年になると夢なんて追っている余裕ゼロっていうところだ。

 すでにカラオケボックスで言うと、延長のありなしを聞いてくるインターホンが、もう2~3分、鳴り続けている状態。すぐにでも受話器を取って延長に備えねば! では私たちのライフシフト、どうやったらいいでしょう? 専門家に聞いてみた。

 これまで、100年ライフのロールモデルといえる100人以上のライフシフターに取材。『実践! 50歳からのライフシフト術-葛藤・挫折・不安を乗り越えた22人』の共著もある、「ライフシフト・ジャパン」の代表取締役、大野誠一さんだ。

 同社では100年ライフをポジティブにとらえライフシフトを実践しようとする人を支援する有料のワークショップ「LIFE SHIFT JOURNEY(ライフシフト・ジャーニー)」を提供している。ここでは多くのライフシフターたちを取材したことから生み出された、さまざまなオリジナルツールが活用されている。

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