AERA 2024年10月21日号より

「ここには塾代や大学の学費で頭を抱える親もいません。仕事もできるし、子どもの英語力もネイティブ並みになりました。こちらでは子どもを通した親同士の牽制や探り合いもないので、子どもの好きなことを純粋にサポートできるのもいいです」(猪飼さん)

 現地で法人を立ち上げて教育移住した人もいる。夫(48)を日本に残し、2人の子どもを連れてカナダへの教育移住を決めたのは宮崎マリアさん(48)。日本で英会話教室を経営していた宮崎さんは、事業を横展開し、カナダで日本の子どもを受け入れる事業を立ち上げた。就労ビザを取得し、21年6月に移住した。ニュージーランド同様に、カナダも親が適正なビザを取得して現地に暮らしてしまえば子どもの学費はタダだ。

娘は飛び級で早大合格

「日本の会社経営と教育移住を両立したくて就労ビザ取得の道を選びました。今はカナダと日本の2拠点で、日本にはシーズンごとに帰国しています」と宮崎さん。夫はまさかカナダで起業できるとは思っておらず、初めは驚いたと言うが、幸い仕事で北米出張があるため、その度にカナダに立ち寄ってくれる。移民コンサルタントを使ったため、親子3人分で100万円程度の費用はかかったが、子ども2人を単身留学させる費用に比べたら安い。息子はカナダの大学に進み、娘はなんと飛び級で今年早稲田大学国際教養学部に入学した。

 子どもの教育のために日本を脱出。さらに自身のキャリアも「どうすれば諦めずにすむか」を軸に考えた女性たち。どの選択もバイタリティーにあふれ、充実していた。

(フリーランス記者・宮本さおり)

AERA 2024年10月21日号より抜粋

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