丸亀高校時代の東山玲士
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 今年のルーキーで驚きの活躍を見せた選手と言えば古田島成龍(日本通運→オリックス6位)になるだろう。ドラフト6位という下位指名での入団ながら開幕一軍入りを果たすと、デビューから22試合連続無失点を記録。ちなみにこの数字はプロ野球タイ記録である。その後も調子を落とすことなくシーズン終盤まで好投を続け、50試合に登板して2勝1敗24ホールド、防御率0.79という見事な成績を残したのだ。

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 そして近年を振り返っても上川畑大悟(NTT東日本→2021年日本ハム9位)、船迫大雅(西濃運輸→2022年巨人5位)、福永裕基(日本新薬→2022年中日7位)など下位指名で入団し、早くから一軍の戦力となっている社会人出身の選手が目立つ。今年の候補で、彼らのように下位での指名となりそうだが、即戦力となりそうな選手はいるのだろうか。

 投手でまず名前を挙げたいのが片山皓心(Honda)だ。桐蔭横浜大では最終学年にエースとなり、4年秋のリーグ戦ではチームのリーグ優勝、その後に行われた横浜市長杯制覇に大きく貢献(この年はコロナ禍で明治神宮大会は中止)。Hondaでも1年目からフル回転の活躍を見せた。しかしドラフト指名解禁となった2022年は故障で低迷し、昨年も公式戦での登板はなかった。

 ようやく社会人4年目となった今年、実戦復帰を果たすと、夏場以降に状態を上げ、度々先発でも好投を見せているのだ。ストレートのスピードは140キロ台中盤と驚くような速さはないものの、ゆったりとしたフォームで球持ちが長く、コーナーに投げ分ける制球力の高さも光る。また終盤まで球威が落ちず、試合を作る能力の高さは社会人でも間違いなく上位だ。今年で26歳という年齢と、長く実戦から離れていたという点から指名があっても下位と思われるが、先発タイプのサウスポーとして狙い目の存在となるだろう。

 古田島のようにリリーフで面白いのが東山玲士(ENEOS)と荘司宏太(セガサミー)の2人だ。東山は同志社大で3年秋にベストナインを受賞するなど活躍。ENEOSでも1年目からリリーフの一角に定着すると、今年は都市対抗でも東京ガスを相手に2回2/3を投げて無失点、4奪三振と見事な投球を見せた。オーソドックスなフォームだが躍動感があり、140キロ台後半のストレートは数字以上に打者の手元で勢いを感じる。本格派でありながら制球力が高いのも持ち味だ。先発だと少し使える変化球が少なく不安なところはあるが、短いイニングであれば早くから戦力となる可能性は高い。

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かつての大阪桐蔭の主軸打者も“狙い目”か