学費かかるがコスパ◎
それでもやはり、日本の仕事をハワイですることは難しかった。日本との時差は19時間。打ち合わせが日本時間の午後に入れば、子どもがすでに帰宅している夜に対応することになる。ここで再び移住先として浮上したのがマレーシアだった。
マレーシアと日本の時差はわずか1時間。リモート会議も無理なくできる。おまけに、首都のクアラルンプールから東京・羽田にLCCが運航しており、安ければ燃油サーチャージ込みで片道1万5千円程度で移動できる。「フライトは7時間。日本での仕事の時もパッと帰ることができます」(藤原さん)
教育環境も抜群だ。マレーシアは多文化社会で英語が通じる。英語圏の学校では、アジア人に対して差別的と思える状況が見えることもあるようだが、アジア圏のマレーシアではそれもない。「(英語圏に住む)知り合いから『おままごとで犬役しかさせてもらえない』という話も聞きましたが、マレーシアは大丈夫です」(藤原さん)
現地インターナショナルスクールの費用は年間300万円弱で、それなりに学費はかかるが、東京と比べると生活コストは安い。ガソリン代は1リットル60円程度。4LDKでプールなどの共有施設が充実したマンションの家賃は月25万円ほど。藤原さんは「学校により学費はまちまちで、年間数十万円で通えるところもあります。生活費込みで考えると、コスパはかなりいいと思います」。
親が学生ビザを取得
ビザの取得のしやすさもマレーシアの特徴だ。学生ビザが取れる学校に通う子どもがいれば、親はその養育のためと見なされて1人分は帯同ビザが取れる。最近はデジタルノマドビザとも呼ばれる「De Rantau(デ・ランタウ)」も出た。IT関連のフリーランサーなどを対象にしたビザで、国外の仕事をしながら最長2年間滞在できる。
藤原さんは、国外に出たことは仕事の刺激にもなっていると話す。「こちらでは日本のアニメのコスプレが流行っていて、クオリティーも高いので、マレーシアのコスプレーヤーを日本に呼んでイベントを盛り上げる企画を進めているところです」
(フリーランス記者・宮本さおり)
※AERA 2024年10月21日号より抜粋