移籍先で才能を開花させた中日の細川

スラッガーの才能は山川にも見劣りしない

 リチャードの打撃を見続けていた他球団のファーム首脳陣はその才能を高く評価する。

「打球を遠くへ飛ばす能力は球界屈指でしょう。リチャードは広角に本塁打を打てる。なかなかいないですよ。パワーだけでなく、打球に角度をつける技術が高い。スラッガーとしての才能は山川にも決して見劣りしないと思います。ファームで伸び悩んでいる状況がDeNA時代の細川成也(中日)と重なるんですよね。ファームでは凄い打球を飛ばすのに、1軍では結果が出ない。少ないチャンスを生かすのがプロの世界と言えばその通りですが、1軍と2軍では投手のレベルが違うし、スラッガータイプの選手は対応するために時間が掛かる。ある程度スタメンで使い続けないと、難しいと思います」

 中日の主軸として活躍する細川は、DeNAで当時のアレックス・ラミレス監督に長距離砲としての才能を高く評価されたが、なかなか1軍に定着できなかった。

 セ・リーグ球団のスコアラーはこう分析する。

「1軍で当落線上の選手は、どうしても目先の結果が欲しい。細川も2軍では豪快なフルスイングを見せていたが、1軍では自分の良さを発揮できなかった。リチャードも持っている才能を考えれば、多少打てなくても我慢して使い続ける価値がある選手だと思います。三塁の守備が巧いですしね。シーズンで出続ければ、打率は低いかもしれませんが20本塁打はクリアすると思いますし、確実性も上がっていくんじゃないですかね」

 使い続ければモノになる――。この起用法が可能になるかは、チーム状況が大きく左右する。今季借金42で最下位に低迷した西武はシーズン途中から育成に重点を置き、西川愛也、長谷川信哉、ソフトバンクからシーズン途中にトレード移籍した野村大樹らを辛抱強くスタメンで起用し続けていた。だが、春先から首位を独走したソフトバンクは違う。リチャードが守る一塁、三塁は不動のレギュラーがいる。西武からFA移籍初年度に本塁打、打点の2冠に輝いた山川が一塁を守り、三塁は故障で長期離脱した柳田に代わって3番で奮闘した栗原陵矢がいる。指名打者は守備の負担を考慮して近藤、山川、柳田が起用されるケースが多い。同学年の正木智也、川村友斗が今季頭角を現し、伸び悩みが続いているリチャードの立場も変わってきている。

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