ソフトバンクのリチャード
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 4年ぶりのリーグ奪回を飾ったソフトバンクはCSファイナルステージに向け、山川穂高、柳田悠岐ら主力選手たちが宮崎で開催されているフェニックス・リーグで調整している。その中でCSのメンバー入りへ、1試合3本塁打と強烈にアピールしたのが、プロ7年目のリチャードだ。

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 10月8日の日本ハム戦(宮崎アイビー)。2回に左腕・根本悠楓の真ん中に入った直球を振り抜き右翼席へソロを放つと、6回に育成右腕・加藤大和の直球を左中間に運ぶ2ラン。これで終わらない。7回2死一塁で黒木優太の147キロ直球をフルスイング。高々と舞い上がった打球は右翼席上段に飛び込んだ。

「あの打球を見ると期待したくなりますよね。逆方向に2発ですから。1軍でチャンスを与えられていないわけではない。なかなか結果を出せないのは精神的な部分が大きいと思います。外角の変化球になるボール球への意識が強すぎるのか、甘い球を見逃してしまう。ファームではどっしり構えて強いスイングができるのに、1軍に上がると結果を求めて迷いが生じてしまう。殻を破ってほしい選手なのですが……」(スポーツ紙記者)

 沖縄尚学から育成ドラフト3位で入団した長距離砲は、高卒3年目の開幕前に支配下昇格。未来は明るいと思われたが、なかなか1軍に定着できない。今季は開幕をファームで迎えて4月30日に1軍昇格すると、「7番・三塁」で初スタメンとなった5月1日の楽天戦で2本の二塁打を放つなど猛打賞の活躍。最高のスタートを切ったが、好調を持続できない。15試合出場で打率.226、0本塁打、1打点。33打席で12三振と粗さが目立った。6月3日に登録抹消されると、1軍に再昇格することはなかった。

 一方、ウエスタン・リーグでは87試合出場で打率.242、18本塁打、54打点をマーク。本塁打、打点の2冠に輝いた。打率は高いと言えないが、振り回しているわけではない。四球をきっちり選ぶ打席が目立ち、出塁率.347と打率より1割高い。20年から5年連続本塁打王に輝いたが、本人に喜びはないだろう。1軍に定着できていない裏返しであり、「2軍の帝王」とも揶揄される。

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リチャードを使い続けにくいチーム事情