ソフトバンク・小久保裕紀監督(左)と巨人・阿部慎之助監督(右)(写真提供・福岡ソフトバンクホークス/読売ジャイアンツ)
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 就任1年目にしてチームをリーグ制覇に導いたソフトバンク・小久保裕紀、巨人・阿部慎之助の両監督。シーズン開幕前は両監督に対して心配の声があったものの、結果で周囲の雑音を封じ込めた。地に足の着いた采配に対しては「名将の器だ」という評価があがっているほどだ。

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 今季のペナントレースはパ・リーグが9月23日、セ・リーグが9月28日に決着した。ソフトバンクは2位・日本ハムに10ゲーム差以上をつけての独走優勝、一方の巨人は昨年の覇者・阪神、広島らとの激しい接戦から抜け出しリーグ制覇を果たした。

「パ・リーグは3連覇中だったオリックスの低迷はあったが、ソフトバンクは豊富な戦力を効果的に生かした。セ・リーグは優勝候補の阪神が苦しむ中、巨人が着々と勝ち星を重ねた。ベテラン監督のような両指揮官の采配に感心させられた」(在京球団スコアラー)

 小久保、阿部両監督は今季から一軍監督に就任、ともに二軍監督や一軍ヘッドコーチなどの指導者経験を経て“準備万端”な状況で指揮を執る形となった。

「コーチ経験を積んでも一軍監督に就任して即座に結果を出すのは難しい。これまでもファンや関係者の期待を裏切ってしまった人も多い。人気球団の両チームで重圧も大きい中、結果を出したことは凄いこと」(巨人OB)

 両リーグとも新人監督が優勝したのは2015年にソフトバンク・工藤公康、ヤクルト・真中満の2人の指揮官が果たして以来、9年ぶり5度目のことだ。

「小久保監督の凄さは細かい部分まで準備を欠かさないこと。球場への出入りもチーム内で最初と最後になる時も多い。他球団を含めたデータの資料などは隅々まで目を通して、どんなことがあっても対応できるようにしていた」(ソフトバンク関係者)

 象徴的だったのは5月31日の広島戦(みずほペイペイドーム)、チームの柱である柳田悠岐が右太もも裏を負傷した時だった。重症で完治まで時間がかかると見るや、即座に育成の佐藤直樹を支配下登録した。

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両監督の“成功”のワケは…