「二軍監督時代から佐藤のプレーは知っていただろうが即断即決に驚かされた。非常時に対応できるよう全選手の現状を把握していたからできること。現役時代から努力家だったが指導者になっても何も変わらない」(ソフトバンクOB)

 また、懸念されていた選手に“厳しすぎる”という点でも、これまでの経験が生きたよう。10月4日の最終戦セレモニーの挨拶では、第2子が誕生した牧原大成へのサプライズとして自ら祝福の言葉を贈った。牧原自身も嬉しかったと語ったようだが、こういった気遣いも小久保監督が勝てた理由の一つかもしれない。

 監督就任が決まった今年1月には自身の後援会が主催する激励会に参加。その時には一軍ヘッドコーチ時代に厳しすぎて選手たちから“総スカン”を食らっていたと打ち明けている。だが、今は二軍監督時代に学んだという選手との“距離感”を大事にしており、時には選手ファーストで臨んだことが好結果を生んだはずだ。

 一方、阿部監督も二軍監督時代を含め就任前は今の時代には厳しすぎるのでは?という声もあったが、ある意味ではそれを上手く貫けたからこその優勝だという分析もある。

「阿部監督は厳しさを持ってチーム内の規律を明確化させた。また臨機応変さに長けており、プラン通りに行かなかった時も慌てることなく対応する柔軟さがある。巨人で長年やってきた百戦錬磨な部分を感じる」(巨人関係者)

 就任1年目からその姿勢は明確で、看板選手の坂本勇人でさえ不調時には二軍調整をさせた。期待の大砲・秋広優人には「野球への取り組み方が甘い」と一軍昇格の機会すら多く与えない。チームに競争を促しつつ、故障者が出ても外国人選手や若手を中心にやり繰りしてきた。

「原辰徳前監督は長期政権だったので、良く言えば家族的、悪く言えば馴れ合いも感じた。阿部監督はプロとしての厳しさを徹底させたことが良かった。長年の捕手経験だろうが、特に打者の好不調を見極めるのは抜群に上手く感じる」(巨人OB)

 伝統ある巨人では「勝利と育成の両立」が常に求められる。就任1年目からリーグ優勝を果たすとともに、終盤には2022年のドラフト1位外野手・浅野翔吾を起用し続けるなど、若手育成も同時に行いチーム全体の底上げにも成功した。

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2人は日本シリーズで激突も