(写真はGettyImages)
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 誰でも、心穏やかに人生を充実させたい。だが、世の中には「苦しんでこそ成果を得られる」という価値観も存在する。世界中で5000万人以上のフォロワーを持つオンラインコミュニティのCEOは『COMFORT ZONE』(朝日新聞出版)の中で、その価値観にとらわれないで、と強くメッセージを送っている。そして、そのためには感情のかじ取りが必要であるとも述べている。働く上でぶつかりがちな感情の嵐への心構えを、本書から一部抜粋・再編集して紹介する。

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感情のかじ取りをしよう

 感情は混乱しやすいものだけど、感情があるから人間でいられる。自分の感情を見定め、理解し、かじ取りするコツをつかめば、この物理的な現実において、感情は最大の強みになるだろう。

 長年の間に気づいたのは、自分の感情を把握できているときは、コンフォート・ゾーンに留まれるばかりか、コンフォート・ゾーンを拡大できること。時にはつるりと足を滑らせて、いきなり失敗への恐怖や精神的疲労に苛まれる「サバイバル・ゾーン」や何もかも不可能に思える「自己満足ゾーン」の深みに落ちることもある。人生のそんな瞬間に目を凝らしてみると、自分の感情を否定したり、認識できなかったりしたせいで、知らず知らずのうちに、コンフォート・ゾーンから遠く離れた場所をさまよっていたのだった。
 

 コンフォート・ゾーンで生きる重要な要素の1つは、そこを出たときにわかることだ。人はどんどん拡大していく存在で、コンフォート・ゾーンの境界線をめいっぱい広げながら夢を追いかけているときは最高にわくわくしている。

 だから、つい勢い余って、自分にとって自然で心地よい場所から飛び出してしまうことがある。自分の感情を把握できていない状態で、コンフォート・ゾーンの外に出てしまったら、戻ってくるのは難しいだろう。

 では、どうすればいい?  まずは感情について話す必要がありそうだ。自分の感情を理解し、かじ取りすることは、目的地のビジョンを構築し、そのビジョンを守るために欠かせない要素だ。また、目的地にうまく到達する最善の方法でもある。
 

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自分が不幸せであることに、気づいていなかった