東北高校が全国優勝したときのショット。後列の中央が有村さん。前列右は宮里藍さん、後列右の賞状を持っているのが原江里菜さん(事務所提供)

原江里菜さんと始めた「30代女子」の大会

 そこで有村さんが始めたのが、30歳以上45歳以下の女子プロゴルファーを対象とした1日限定の大会「LADY GO CUP」だ。東北高校の同級生、原江里菜さんとともに発起人となって2022年から始めた。

「30代のゴルファーが子育てとゴルフを両立させながら活躍できる場は多くありません。ゴルフを続けるにはトーナメントで毎年いい成績を残したり、QT(ツアーへの出場資格を決めるための大会)に参加して推薦をもらわないといけなかったりします。けど、子育てしながらだとこれはかなりハードルが高いんです。もちろん子育て以外でも両立は難しいと思います。45歳以上には『レジェンズツアー』がありますけど、私たちの世代はまだ参加できません。なので、ちょうど宙に浮いたような年代なんですよね」

 そして、こう続ける。

「『LADY GO CUP』のような大会があることで、30代の女子プロゴルファーの間で、何かのせいで別の何かを諦めなければいけないってことが減っていけばいいなと思っています。いろいろな事情があってツアーには出られなかった選手たちが競技としてのゴルフを楽しめる環境にしていきたいですね」

 最後に、今後について聞くと、「未知すぎてわからないです」と少し弱気な表情を浮かべた。「妊娠する前はあれもこれもできると思ってたんですけど……」とその心情を明かす。

「もちろん『LADY GO CUP』の運営はこれからもやっていきたいですし、競技にも参加したいです。それから、ゴルフ界への貢献ももっとしていきたい。でも、子育てがどれだけ大変かによって、ゴルファーとしてのキャリアへの考え方がかなり変わるなと思っています。なので、未知だなと。子育てが自分のキャパオーバーにならなければ、ゴルファーとしてのキャリアもしっかり築いていきたいなとは思うのですが……。あとは結局自分がどう判断するか、かな。子育てはやろうと思ったらいろいろやれるじゃないですか。どこまでやるのかっていうのは、自分で決めなきゃいけないところなので、自分の競技人生のためにどこで決断するかっていうところなんです。けど、そこはまだわからないですね……」

次のページ
現役復帰には葛藤もある