
安倍元首相の命日に議員らに呼びかけ
無所属となりながら、世耕氏は党内で影響力を保とうと動いてきた。
今年7月8日、安倍晋三元首相の命日に、安倍氏が亡くなった現場である奈良県の近鉄大和西大寺駅前に世耕氏の姿があった。すでに離党していたが、大勢の安倍派参院議員を引き連れて、横断歩道を渡って歩き、献花をするときも合掌するときも、常に立ち位置は真ん中。その姿はまさに “参院のドン”と言わんばかりだった。
近くの寺に場所を移しての法要後、世耕氏は報道陣に、
「無所属ですから」
と言って現場を後にしたが、参加していた清風会の議員は、こう話していた。
「世耕氏に『安倍元首相の法要をやるからこい』と誘われたら行くしかない。もちろん、安倍元首相の追悼の念がありました。離党した世耕氏が、なぜ清風会の会長然として呼びかけるのか疑問もありましたが、一方で、いくら自民党を離党して無所属といっても、あれほど権勢を誇った人ですから、いつ復活するのか、何をやるのかわからない。参加した議員は『一緒に行かないと怖い』とつぶやいていました。私も同じような怖さがあり、時間をやりくりして参加した」
衆院選・和歌山2区から出馬表明へ
世耕氏の高市氏への集票作戦は実を結ばなかった。それでも石破政権が誕生すると、世耕氏は次のステップに入った。
石破首相は自説を変えて衆院の早期解散を明言し、総選挙は10月27日投開票で実施される見込みになった。かねて参院から衆院への鞍替えを模索していた世耕氏は、無所属で和歌山2区から出馬する公算が大で、近く記者会見をする模様だ。
すでに自民党は和歌山2区で、政界引退する二階俊博元幹事長の三男、二階伸康氏の公認を決めている。世耕氏の出馬によって、保守分裂の激しい選挙となることは確実だ。