和歌山県町村会から次期衆院選への立候補要請を受けた二階伸康氏(左から2人目)。右から2人目は町村会会長の岡本章九度山町長

裏金議員なのに政治資金パーティーを開催

 世耕氏は早期の解散総選挙を見越していたのか、裏金議員でありながら、今年6月と8月に相次いで政治資金パーティーを開催し、批判を浴びた。

「いくら自民党をクビになったといえども、パーティーの裏金が事件になっているのに、短期間で2回もやるなんて異例のこと。その頃から、参院から衆院にくら替えするカネ集めだと思っていた。地元でも、ミニ集会を行い、支援者を口止めしながらも虎視眈々と狙っていた」

 と語るのは和歌山県内の自民党県議。そして、こうも話す。

「世耕氏が衆院にくら替えを決断した背景が、情勢調査でしょう。自民党がやった調査では、和歌山2区で世耕が7、伸康が3という世耕氏圧勝という数字でした。最近は世耕氏個人でも調査したらしく、そこでも勝てるという結果だったと聞きました。この選挙区は二階先生一家のもんじゃないという世襲批判もあります。もともと二階先生の圧勝が続いてきた選挙区ですから、保守分裂はしても、野党候補の台頭はまず考えられない。世耕氏と伸康氏の激しい争いになるでしょう」

 一方、伸康氏に出馬要請をした和歌山県町村会の会長も務める岡本章・九度山町長は、世耕氏に手厳しい。

「世耕氏は前の衆議院選挙でも二階先生の選挙区から出馬したがっていた。彼のくら替えの理由は首相になるためでしょう。和歌山や国を思ってではなく、個人のためです。そんなくら替えに大義はない。それに裏金事件でも秘書のせいにして、ぬくぬくと議員を続けている。本当は議員辞職でしょう」

 自民党の政務調査役を長く務めた、政治評論家の田村重信氏は、

「その昔、ロッキード事件で田中角栄元首相は逮捕され、自民党を離党して無所属ながらキングメーカー、闇将軍などともいわれた。ただ、田中氏と世耕氏ではあまりに格が違いすぎる。世耕氏の総裁選への口出しは、石破政権では自民党に戻れない、なんとか高市総裁を実現してきっかけをつかもうと思ったのか、焦りが感じられますね」

 と言い、さらにこう話す。

「世耕氏はずっと衆院くら替えを狙っており、石破政権で復帰の目も遠のいたので決断したのではないか。当然、二階元幹事長も黙っていないはずなので、和歌山2区は保守分裂で、とんでもない熾烈な選挙になるでしょう」

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