世耕弘成参院議員
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 石破茂首相が高市早苗前経済安保相を決選投票で下した自民党総裁選が終わって、こんな声がある。

【写真】世耕氏が次のステップに進もうとするとき争う相手はこの人?

「自民党から去った人が総裁選終盤に影で動いて、票を集めていた。それが批判を浴びて石破氏に流れた票もあった気がする」

 こう話すのは旧岸田派の衆院議員。また、旧二階派の衆院議員もこう話した。

「もう自民党じゃないのに、ウラで総裁選に口出すなんて、空気が読めていない」

 批判のターゲットになっているのは、元自民党参院幹事長の世耕弘成参院議員だ。

 自民党の安倍派を中心とした政治資金パーティー収入を裏金にしていた事件で、世耕氏は1542万円を裏金にしており、4月に党から離党勧告の処分を受け、離党している。

 だが、自民党総裁選の裏で、党員ではない世耕氏が動き回っていたという。

「高市氏でまとまろう」と世耕氏が伝言

 総裁選も終盤になり、石破首相、高市氏、小泉進次郎前環境相の「3強」の争いという構図が固まりつつあったころのこと。

「世耕さんが高市さんにまとめようとしている。そちらには電話はないか」

 そんな内容の電話が安倍派の参院議員たちに伝わっていった。

 世耕氏は参院党幹事長とともに、「清風会」という安倍派の参院議員のグループを率いてきた。清風会に所属していた参院議員の一人が語る。

「離党後はさすがに影響力が落ちてしまった世耕氏ですが、総裁選で復活を図ろうとしたのか、清風会のメンバーをまとめて高市氏に票を集めようと動いていました。私にも、世耕氏から連絡を受けた議員から『高市氏でまとまろうと世耕氏が言っている』と伝言がきました。何人かの清風会の議員は、世耕氏と直接会って話をしたそうです」

 そして、こうも続けた。

「世耕氏は確かに安倍派の参院をまとめ、ボス的な人でした。しかし、自民党を離れざるを得ず、おまけに総裁選で自らは票を持っていないのに、なぜそこまで口出しするのかとムッとしたところもあります。一方で、安倍派をはじめ派閥がなくなったことで、情報がなくなり、どう動けばいいのかと不安になっている議員は、渡りに船と、ボスの世耕氏の呼びかけに応じていました」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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