上から落ちてくる政策に振り回され、多様化する保護者・生徒の価値観の壁にぶつかり……。いま、教員の自主性、自発性が失われていく現状があるという。公立校の現役の先生たちに聞いた。AERA 2024年9月30日号より。
<参加者>
A:関西・小学校教員・女性
B:東北・小学校教員・男性
D:関西・小学校教員・男性
E:九州・小学校教員・女性
H:九州・小学校教務主任・男性
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D:文部科学省の政策は、現場の教員たちにはあまり影響しないというのが実感です。文科省は各学校で判断して自由にやってくださいというスタンスで、いいアイデアもたくさんあるんです。むしろ各自治体が縛りを強くして教員を動きづらくしている印象です。
E:書類づくりについてもそうなんですが、県や市の教育委員会レベルで「~スタンダード」「~型授業」のような型を作ってあてはめようとする動きは最近特に強いと思います。各学校の自主性を奪って、どこも均等な同じような学校づくりが進んでいるような気がします。教師自身も「自由な発想でいろんなことにチャレンジしていいんだ」と思えなくなっていて、言われた仕事をこなすだけになっているから仕事が面白くなくなります。とても狭い枠組みの中で、それを守っているかどうかが評価されているという気にさせられるので、当然教師自身の視野が狭まる。本当はそんなことの外側に教育の大事な部分がたくさんあるのに。そのように個人の自主性を奪った結果、他の仕事にやりがいを求めて退職した教員が何人もいます。
A:学習指導要領自体がさまざまに解釈しながら活用できるものであっても、これは絶対にやらなければならない、そうするものなんだという圧力があって。加えてその通りに進めていないと業者テストと整合性が取れなくなるなど、いろんな要素が複合的に絡んで、結局言われたようにしかやれないということは起こっていると思います。