”大化け”も期待できる前橋商の清水大暉
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 あと約1カ月に迫ったプロ野球ドラフト会議。有力候補の数に合わせて“豊作”や“不作”などと表現されることが多いが、1位指名間違いなしという選手が12人以上揃う年は滅多になく、中にはチーム事情や将来性の高さを評価して、事前に予想されていなかった選手が1位指名されるケースも珍しくない。今回はそんな“サプライズ1位”の可能性がありそうな選手を探ってみたいと思う。

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 改めて今年のドラフト戦線をまとめると、3月に行われた侍ジャパントップチームの強化試合に招集された金丸夢斗(関西大・投手)、宗山塁(明治大・遊撃手)、西川史礁(青山学院大・外野手)、中村優斗(愛知工業大・投手)と、3年時から大学日本代表で活躍している渡部聖弥(大阪商業大・外野手兼三塁手)の大学生5人が中心と見られる。

 高校生ではいずれもU18侍ジャパンで活躍した石塚裕惺(花咲徳栄・遊撃手)、今朝丸裕喜(報徳学園・投手)、藤田琉生(東海大相模・投手)の3人も評価が高い。特に石塚は大学生野手と比べても遜色ない打撃を見せており、守備と走塁もレベルが高いことから最初の入札で指名する球団もありそうだ。まずはここまでの8人は1位の12人に入る可能性が高いだろう。また、人気になりやすい即戦力候補の大学生投手では篠木健太郎(法政大)も下級生の頃から評価が高く、1位候補として見て良さそうだ。

 残りの3人は展開次第でかなり流動的と見られるが、過去の例を見るとスケールの大きい高校生投手、希少性の高いスラッガー、ポジション的に重視されやすいキャッチャーやショートが浮上してくることが多い。スケールの大きい高校生投手では柴田獅子(福岡大大濠)の名前が挙がる。安定感には乏しいところがあるが、190cmの長身から投げ込む150キロに迫るストレートは威力十分。またバッティングも長打力抜群で、野手としての能力が高いのも魅力だ。

 スラッガーでは森井翔太郎(桐朋・遊撃手兼三塁手)、モイセエフ・ニキータ(豊川・外野手)、佐々木泰(青山学院大・三塁手)の3人が有力候補となる。ただ森井はプロ志望届を提出しているものの、メジャー球団と接触するための措置とのことで、NPB入りの可能性は低いという見方が強い。そうなるとさらにスラッガー候補の数が減ることになり、モイセエフと佐々木の人気が上がることも考えられるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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高校生投手では3人が候補か