今年はここまで二軍で打率.220と成績だけを見れば目立たないが、チームでトップの打席数に立ち、試合に出続けているというのは大きなプラスである。持ち味はその守備能力の高さで、まだ失策は多く堅実さは課題が残るものの、ショートもセカンドも軽快にこなすことができ、軽快なフットワークと肩の強さはプロでも目立つレベルだ。

 また二軍でチーム3位となる11盗塁をマークしているように脚力を備えているのも魅力である。チームのショートは同学年の長岡秀樹がレギュラーとして活躍しているが、セカンドの山田哲人は大きく成績を落としており、サードの村上宗隆も近い将来メジャーへ移籍する可能性があることを考えると、大型でスケールのある伊藤は貴重な存在である。課題の打撃が向上させて、来年は一軍定着を目指したい。

 伊藤と同じヤクルトで存在感を示しつつあるのが外野手の岩田幸宏だ。東洋大姫路を卒業後、社会人のミキハウス(入部当時はミキハウスベースボールクラブ)で4年間プレーし、BCリーグの信濃を経て2021年の育成ドラフト1位でヤクルト入りした。1年目から二軍で結果を残し、今年の開幕直後に支配下登録を勝ち取ると、7月以降は一軍に定着。8月14日の中日戦ではプロ初ホームランを含む3安打の大活躍でチームの勝利に貢献した。

 一軍での打率は.205とまだ課題は残るものの、9盗塁をマークしており、持ち味であるスピードが通用することを証明している。チームの外野は青木宣親が今シーズン限りでの現役引退を表明し、レフトのサンタナ以外はかなり流動的な状況だけに、ここから一気にレギュラー争いに加わる可能性もありそうだ。

 パ・リーグで期待が大きいのがロッテのドラフト2位ルーキー、大谷龍輝だ。小松大谷を卒業後、JFE東日本、伏木海陸運送と社会人チームでプレーしながらなかなか芽が出ず、日本海リーグの富山で驚きの成長を遂げて上位指名でのNPB入りを果たした。

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