ヤクルト・伊藤琉偉(写真提供・東京ヤクルトスワローズ)
この記事の写真をすべて見る

 毎年多くの選手がブレイクするプロ野球の世界だが、捕手で今年筆頭格と言えるのが山本祐大(DeNA)ではないだろうか。今月15日の広島戦で手首に死球を受けて骨折し、残念ながら今シーズン中の復帰は絶望となったが、ここまで108試合に出場して104安打、打率.291をマーク。盗塁阻止率も.352と高い数字を記録している。骨折さえなければオフに行われるプレミア12で侍ジャパンに選出されていた可能性も高い。

【写真】慶大不合格からケタ外れのエースになったプロ野球選手がこちら

 そんな山本は京都翔英時代はチームに石原彪(現・楽天)がいたこともあって外野手としてプレーしており、BCリーグの滋賀(当時)を経て1年でDeNAからドラフト指名を受けて入団している。近年NPB入りした独立リーグ出身の選手では出世頭と言える存在だ。昨年のドラフトでは史上最多となる23人(支配下6人、育成17人)が独立リーグから指名を受けて話題となったが、山本に次ぐ“独立の星”候補としてはどんな選手がいるのだろうか(成績は9月18日終了時点)。

 まず二軍で結果を残しているのがDeNAのドラフト6位ルーキー井上絢登だ。福岡大から四国アイランドリーグの徳島へ入団。2年連続でホームランと打点の二冠に輝き、昨年のドラフトで念願のNPB入りを果たした。独立リーグ入団直後はパワーこそあるものの、確実性に乏しかったが、昨年はその部分も大きく改善。ルーキーイヤーの今シーズンはここまで二軍で63試合に出場し打率.301、8本塁打、43打点と見事な成績を残している。

 徳島時代から出場機会を増やすために内野にも挑戦しているが、守備に関してはまだまだ課題でエラーも多い。ただ思い切りの良いフルスイングは迫力十分で、また脚力もあるだけに楽しみな存在である。チームは野手陣の世代交代が今後の課題となるだけに、何とかチャンスをつかみたいところだ。

 セ・リーグのルーキーでもう1人楽しみな存在となっているのがヤクルトの伊藤琉偉(ドラフト5位)だ。東京農業大でも下級生の頃からリーグ戦に出場していながら2年秋に退学し、BCリーグの新潟を経てわずか約半年でドラフト指名を受けたことで話題となった内野手である。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
次のページ
パ・リーグではロッテの速球派右腕に期待