社員旅行でキャロットケーキ作りに挑戦したアルトワイズ社の吉田さん(右から2人目)

社内イベントはめんどくさかったけど…

「社員それぞれ、“心の化粧”がとれた素顔が垣間見えた気がします。いつも真面目に仕事をしている人がシャウトして走り回ったり、先陣を切った女性陣がスライディングをしてコケたり。社長の私はみんなから狙われて、『そっち行ったぞ!』なんて集中攻撃に遭いました(笑)。あまりに楽しかったので、社員に『来週も行きたいね』と言ったら、『僕は明日行きたいっす』と。いい社員旅行になったなと安心しました」

 社員旅行委員会メンバーの一人である吉田瑞希さん(25)はこう話す。

「今まで“えらい人”という認識しかなかった上の立場の方々を、困った時に相談できるお父さんみたいに感じるようになりました」

 とはいえ、吉田さんも当初は社員旅行に乗り気ではなかったという。

「社内イベントは正直めんどくさいと思っていたし、趣味をはじめ自分の時間を大切にしたいZ世代の気持ちはすごくよく分かります。でも今回参加して、『会社の人と遊びに行ってもどうせ楽しくない』『世代もちがうし話が合わなさそう』というのは、こり固まった考えだなと痛感しました。人との縁は自分の仕事や将来にプラスになるかもしれないし、殻に閉じこもっていてはダメだなと」

 リアルなコミュニケーションの場が増えれば、会社への帰属意識は高まり、現場の課題や社員の思いをすくいとりやすくなる。そう考える向井社長は、来年の社員旅行はより多くの社員が参加してくれるのではないかと、期待を寄せている。

「若者世代だと、自分のペースを崩される場所に行くことをダルいと感じる人もいるでしょう。でも天の岩戸に隠れた天照大御神が、外のお祭り騒ぎが気になって姿を現したように、こちらが楽しそうにしていたら、『輪に入ってみようかな』と思ってもらえるかもしれない。とりあえず近いうちに、レーザー銃を買ってオフィスでサバゲー大会をやります(笑)」

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