ワークショップで自分の人生をプレイバックするアチーブメント社社員

涙ながらに人生をプレイバック

 一方、“ワイワイ楽しむ”以外の方法で社員旅行を成功させたのが、企業向けに人材教育のコンサルティングを行う「アチーブメント」だ。

 年間の売り上げ目標を達成したら社員旅行に行く文化があった同社は、2018年以前は2泊3日で海外を訪れていた。だが家庭を持つ社員が増えて長期の旅行が敬遠されたり、コロナ禍になったりといった事情から、しばらく社員旅行は中止していた。

 しかし今年3月、1泊2日の沖縄旅行という形に変更し、6年ぶりに再開。新入社員から勤続30年超えのベテランまで、160人が参加した。

 18年のグアム旅行を企画した社員の張酉煦(ちょう・ようしょう)さんによると、前回は街なかでリアル謎解きゲームをするなど「完全に遊びに振り切った旅」だったが、今年は部署や役職を超えて結束を深めることを重要テーマにすえ、プランが組まれた。中でも社員の満足度が高かったプログラムが、5~6人のチームに分かれて、自分の人生をプレイバックするワークショップだったという。

 大学の運動部で主将を務める中で学んだことや、過去のつらい体験を、時には涙ながらに語った社員たちの様子について、今年の旅行を企画した佐藤宙さんはこう振り返る。

「学生時代にいじめられたことを話す人もいたし、私は親族をなくした時のつらい経験について話しました。相手のバックグラウンドや原動力の正体を知ると、『なんでこんなに仕事に細かいの?』『なんでそこまで成果にこだわるの?』などと、これまでモヤモヤしていたことの辻褄(つじつま)が合う。その結果、『この人のためなら一肌脱ぐか』と、モチベーションが高まった社員が多くいたようです」

 後日、社員旅行を振り返るアンケートを行うと、「それぞれの人生を知る中で、仲間や会社への自信が高まった」「この仲間たちと一緒に働ける喜びをかみ締めた」などと、同僚や会社への愛着が増したという感想が相次いだ。

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ビジネスホテルで社員旅行