DeNAのタイラー・オースティンが大きな存在感を発揮している。チームはクライマックスシリーズ(CS)進出もギリギリの状況ではあるが、攻守でアグレッシブなプレーを見せてDeNAを牽引。ムードメーカーとしても欠かせない選手になっている。
今季が来日5年目のオースティンはここまで93試合に出場して、打率.308、23本塁打、63打点と自己ベストと呼べる成績を残しているが、本人が何より求めているのはDeNAが勝つこと。「チームの勝利、チームの優勝に貢献したい」と常に口にし、試合を決める一打を放っても、個人記録について尋ねられても同じコメントが聞かれる。
「米国ではトッププロスペクトとして期待されていた。(来日した時は)メジャー復帰を視野に入れて個人プレーに走ることも懸念されたが、そのような姿勢は全くない。勢い余って怪我をしてしまうことがあるのが心配だが、DeNAのために全力を尽くしてくれている」(DeNA関係者)
来日以降、怪我に苦しむシーズンが多かったが今年も“ヒヤッと”する瞬間は少なくなかった。開幕直後の4月10日に行われた中日戦(横浜)では走塁の際に右太ももを痛め同12日に登録抹消されると、球宴では打球を顔面に受けるというアクシデントにも見舞われた。
さらに、今月10日の阪神戦(甲子園)でもベンチ裏でユニフォームを着替える際に頭を天井にぶつけて途中交代するなど、「またか……」と思わせる瞬間が何度かあったが、今季は離脱が長引かずにプレーを続けている。
「TA(オースティンの呼称)の性格だろうが全てのプレーで手を抜かない。若手選手をはじめ、チームへ闘争心を植え付けてくれる。とはいえ常に怪我の心配があるので、状況に応じては自重して欲しい時もあります(苦笑)」(DeNA球団OB)
「外国人だけど日本人のお手本になる選手」と三浦大輔監督も絶大な信頼を寄せる。2020年に来日してから5年が経ち、今季が2021年オフに結んだ3年契約最終年となるが、球団が保有するオプションで契約を延長すると見られている。