高卒3年目で奪三振記録と完全試合
高卒3年目の22年は自己最速の164キロを計測し、4月10日のオリックス戦で完全試合を達成。13者連続三振は世界記録で、1試合19奪三振もプロ野球タイ記録。完全試合の次の登板となった同月17日の日本ハム戦でも8回まで走者を一人も出さず、14奪三振無失点の完全投球。102球を投げて前回登板からの疲労も考慮して9回のマウンドには上がらず交代し、史上初の2試合連続完全試合は幻に終わったが、圧巻の投球だった。
他球団のスコアラーは「今までこんなすごい投手は見たことがなかった。素材で言えば、ダルビッシュや大谷より上。これからプロ生活で何度も完全試合を達成しても不思議ではない。そう思わせる投手は佐々木だけでしょう」と振り返る。
投手タイトルを総ナメにする能力を持っていることは間違いない。だが、その後は故障がネックとなる。昨年は15試合登板にとどまり、7勝4敗、防御率1.78。投げる試合は規格外のパフォーマンスを見せるが、投球回は91イニングと少ない。そして、今季もコンディション不良で2度の戦線離脱。「ガラスのエース」と揶揄されているが、投球内容も物足りない。16試合登板で8勝5敗、防御率2.56。クォリティ・スタート(先発投手が6回以上投げ、自責点3以下)率は56.3%で、一昨年の70%、昨季の73.3%より下がっている。自身初の2ケタ勝利を狙える位置につけているが、満足できる数字ではない。
パ・リーグ球団で佐々木と対戦する打者はこう語る。
「凄い投手であることは間違いないです。ただ、昨年の夏場までの『手の打ちようがない』という感覚はないですね。目が慣れた部分はあるかもしれませんが、直球は昨年までの速さは感じないし、変化球も浮いてくる時があるので、きっちり捉えれば出塁できるチャンスはあるかなと思います」
球界屈指の好素材であっても、プロの世界で輝き続けられる保証はない。典型的なケースが藤浪晋太郎(メッツ傘下3Aシラキュース)だ。