今季はファーム暮らしが続いたビシエド

12球団屈指の「勝利の方程式」だが…

 指揮官はドラスティックにチーム改革を敢行した。主力選手だった京田陽太、阿部寿樹をトレードで放出。ダヤン・ビシエドもレギュラーから外した。戦力の大幅なテコ入れで、台頭してきた選手たちがいる。岡林勇希、現役ドラフトでDeNAから移籍した細川成也がレギュラーを獲得し、先発から救援に配置転換された清水達也、育成枠で入団した松山晋也が安定感抜群のセットアッパーに。球界を代表する守護神のライデル・マルティネスにつなぐ「勝利の方程式」は12球団屈指の強固な継投策だろう。

 だが、思うように白星が積み重ならない。今年は開幕ダッシュに成功して4月中旬に貯金6で首位に立ったが、好調は長く続かなかった。5月以降は借金が増え、優勝争いから早々と脱落。中軸で計算していた中田が度重なる故障で打率.217、4本塁打と期待外れの成績になり、先発陣が夏場以降に不安定だったことなど下位低迷の原因は複合的だ。

 名古屋のテレビ関係者は、中日で8年間指揮をとり、一度もBクラスになることなく3度のリーグ優勝と1度の日本一を達成した落合博満元監督を引き合いに出して、こう指摘する。

「落合監督が指揮を振るっていた当時の中日も戦力が潤沢ではなかったが、『守り勝つ野球』を徹底していた。その象徴的な存在が英智でした。レギュラーではないが、試合終盤に走塁や外野の守備固めでチームを勝利に導く大仕事を何度もしていた。今の広島は落合政権の中日に重なります。新井貴浩監督は、遊撃の守備能力が高い矢野雅哉を打てなくてもレギュラーで起用し続け、矢野は課題の打撃も良い働きを見せるようになって、チームに不可欠な存在になっている。試合終盤に代走のスペシャリストで起用される羽月隆太郎は相手バッテリーのマークが厳しくなり盗塁失敗が増えた時期がありましたが、勝負所で起用し続けている。役割分担が明確で、失敗してもすぐに外されないので選手は伸び伸びプレーしている。対照的なのが現在の中日です。結果が出ないとスタメンを外れ、打順もコロコロ変わる。四球数が少ないですし、出塁するための工夫がチーム全体で見られない。機動力で相手に重圧を与えることもないので、得点力が上がらない。借金が積み重なるのは必然と言えます」

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