DeNAの東克樹
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 26年ぶりのリーグ優勝が厳しい状況になっているDeNA。打線は破壊力十分だが、どうしても投手陣が見劣りするため波に乗れない。その中で絶対的エースとして奮闘しているのが、7年目左腕・東克樹だ。

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 今季、東は20試合登板で10勝2敗、防御率1.73。勝利数はリーグ2位、防御率はリーグ3位につけている。(8月23日時点)

 8月21日の中日戦で6回3安打1失点の快投を見せ、2年連続2ケタ勝利に到達した。この日は立ち上がりから順調だったわけではない。初回に制球がばらつき、2つの四球で2死一、二塁のピンチを招く。福永裕基を空振り三振させて無失点に切り抜けたが初回だけで32球を要した。二回以降はカットボール、スライダーなど変化球主体で打たせて取る投球にシフトチェンジ。96キロのカーブで目先を変えるなど緩急自在の投球でスコアボードにゼロを並べる。ギアを入れた六回は川越誠司、細川成也、福永のクリーンアップを三者連続三振に仕留めた。

 他球団の首脳陣は、東に対してこう語る。

「制球力の良さがすべてですね。球界でもトップクラスでしょう。直球は平均球速が145キロに満たないですが、内外角をきっちり突き、球速以上に伸びてくるので差し込まれる。スライダー、チェンジアップ、カットボールも投げミスがほとんどないので、攻略するのが難しい。試合中の修正能力が高いのも安定している要因だと思います。厄介な投手ですよ」

 東は昨年、防御率1.98、16勝3敗で最多勝、最高勝率(.842)のタイトルを獲得。フィールディング能力も高く、自身初のゴールデングラブ賞も受賞した。抜群の制球力はデータでも証明される。24試合登板し、172回1/3を投げて、与えた四球数は敬遠の2つを除いて13個のみ。9回を投げての与四球率は0.78で、規定投球回以上の投手で史上3位の記録だった。

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