ミックスルーツの人が増えている

 国籍というものについて誤解をしている人も少なくありません。いま20代のある男性は、日本とアルゼンチンにルーツがあり、米国生まれで、三つの国籍を持っていました。そのままで問題なかったのに、高校を受験する時に中学校の先生が、生徒に複数の国籍があるのを問題視したことを機に、彼は一時日本国籍を失うことになってしまいました。

学校や職場には、ミックスルーツやLGBTQなど多様な人材が集う。互いへのリスペクトと思いやりが欠かせない(photo gettyimages)

 彼は成人後に間違いに気付き、運よく国籍を取り戻せましたが、それまでの間、大学の奨学金を申請できないなどの不利益を被りました。先生は半端な知識や思い込みで、口を出さないでほしい。日本の国籍があるとわかったら話はそれで終わり。他の国籍のことまで首を突っ込まない。学校の先生が関知する話ではありません。

 シビアな話もあります。今、ガザやウクライナで戦争が起きていますが、イスラエルやパレスチナ、ウクライナ、ロシアなどにルーツがある子どももいるでしょう。そういう子どもに「あなたはどっちの味方?」といったことを聞くのもよろしくないと思います。

 いろんな国にルーツがある人がいます。「日本とその国、どっちが好き?」というのは、定番の質問ですが、子どもがどの国を好きだと言っても、それは尊重してあげるといい。責めたりはしないこと。

 日本にルーツがない子どもが、残酷な質問を投げかけられることもあります。「なんで国に帰らないの」「いつまで日本にいるの」などです。素朴な疑問かもしれないけれど、聞かれても子どもにはどうしようもないこと。子どもは自分で住む国を選べません。

 大人は子どもに対して、自分の頭にある「なんで、なんで」をぶつけないこと。いろいろ疑問があったとしても、それを子どもにぶつけてはダメだと思います。

サンドラ・へフェリンさん(本人提供)

(ライター・大塚玲子)

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