沖縄で、米兵による性暴力事件が相次いで起きていたことがわかった。米兵の犯罪も増え、日米地位協定や、米軍の持つ構造的な問題などが指摘される。米兵による性暴力を根絶するには、何が必要か。AERA 2024年8月26日号より。
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いつまで繰り返されるのか。沖縄でまた、米兵による性暴力事件が起きた。
「怒りがこみ上げてきます」
沖縄県豊見城市(とみぐすくし)に住む50代の女性は、涙を流しそう話す。
6月25日、米軍嘉手納基地(沖縄県)に所属する米空軍の兵士(25)が不同意性交罪などで起訴されていたことが発覚した。被害者は未成年の少女。米兵の男は昨年12月、沖縄県内の公園で少女を誘い自分の車で自宅に連れ込み、16歳未満と知りながら性的暴行をしたとされる。その2日後には、別の在沖縄米海兵隊員が、不同意性交致傷の容疑で今年5月に逮捕されたことが明らかになった。さらに、この2件とあわせ、性暴力事件が昨年以降計5件あったことも分かった。
先の女性には娘がいる。
「どうして女性や子どもに対してこんなことができるのか。心がえぐられます。絶対に許せないです」
相次ぐ性暴力に、沖縄県の玉城デニー知事も「強い憤りを禁じ得ない」と述べた。特に今回、問題とされたのが、通報体制が機能不全に陥っていたことだ。1995年に起きた米兵3人による小学生の少女暴行事件を受け、97年の日米合同委員会で、米軍関係の事件・事故は「地域社会に対して正確かつ直ちに提供することが重要であると認識する」と明記された。本来であれば、事件は米側が把握した時点で米軍から日本の外務省、防衛省、沖縄防衛局、そして沖縄県へと情報伝達される。
ところが、昨年から今年にかけて発生した5件の性暴力はいずれも沖縄県に情報が伝わっていなかった。昨年12月の事件が速やかに県に伝わっていれば、注意喚起によって5月の事件は防げたかもしれない。
なぜ沖縄県に連絡がなかったのか。政府は「被害者のプライバシーを保護するため」などと釈明した。